【シドニーIPS=カリンガ・セレヴィラトネ】
4月18日、ソロモン諸島の首都ホニアラで、中国系商店に対する焼き討ち・略奪が起こった。約1000人の怒れる人々が国会議事堂前からデモを行い、約90%の中国系商店が被害にあった[この場合の「中国系」には、中国・台湾の区別はない:IPSJ]。
暴動が起こったのは、新首相スナイダー・リニ氏の選出過程において、台湾系企業が資金面で支援したのではないかとの疑いが強まっていることが原因だ。ソロモン諸島においては、首相は公選ではなく、国会議員が選ぶ。
労働党のジョゼズ・ツハヌク党首は、選出が始まる以前から、アラン・カマケザ選挙管理内閣が台湾系企業と共謀していると訴えてきた。リニ新首相の所属政党「独立国会議員連合」のトミー・チャン代表は、裕福な中国系経営者であり、ホニアラ・ホテルを所有している。リニ氏自身は、カマケザ内閣の財務大臣として、中国系企業の税金免除策を次々と実行してきた。
ソロモン諸島は、中華人民共和国との外交関係がない。他方で近年、台湾政府がソロモン諸島に対する巨大なドナーに成長し、地域開発・教育・都市基盤整備などの支援を行なってきた。
しかし台湾は、政治家に影響を与えるためにさまざまな利益供与を行なっているのではないか、と非難されている。在ソロモンのアントニオ・チャン台湾大使は、こうした疑惑を否定している。
人口約5万人の首都ホニアラには、中国系住民が現在約2,000人いる。そのほとんどが、大英帝国の植民地だった時代に強制移住させられた人々の第3・第4世代だ。
今回の暴動に対する国際的な反応はどうか。まずオーストラリアは、110名の兵士と70名の警察官を派遣することを発表した。オーストラリアは、2003年以降、治安維持を名目としてソロモン諸島に約2,000名の兵士を送り同国を実効支配している。
他方中国は、暴動への「深い憂慮」を表明し、中国系住民・企業を保護するようソロモン諸島政府に要請した。
ソロモン諸島で起こった反台湾暴動とその背景について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan