【ジュバIPS=チャールトン・ドキ】
スーダン・南スーダン国境沿いの住民らが、石油をめぐる両国間の紛争が戦争に発展する危険にさらされている。
スーダンの南コルドファン州、青ナイル州近辺では、スーダン国軍とスーダン人民解放軍・北部(SPLA-N)との衝突が続いている。
スーダン・南スーダン両国の石油生産のうち85%は、南スーダンで行われており、その大部分はベンティウ州、上ナイル州からのものである。もう少し内陸に入ったジェングレイ州でも石油を産出している。南スーダン石油鉱業省のガトベク事務次官によると、通常どおり生産できていれば、南スーダンの生産能力は日産30万バレルだという。
地元のNGO「進歩のためのコミュニティ強化機構」(CEPO)は、9月17日に発表した報告書で、両国間の国境では一般社会に武器があふれ、きわめて危険な場所になりつつあると警告した。
米スミス大学のスーダン専門家、エリック・リーブス氏は、スーダン側の挑発に対して南スーダンはきわめて冷静に対処しているとして、「約1年前の11月に南スーダンに対する爆撃が始まり、アビエイも軍事的に奪取されましたが、南スーダンはこれに武力で反抗していません。ヌバ山脈や青ナイルの兵士に加勢することも避けています。しかし、これも長くは続かないでしょう。」と語った。
仮にスーダン軍の攻撃が、SPLA-Nの拠点であるクルムーク(スーダン・エチオピア国境沿い)で続くようであれば、現在はバラバラにスーダン軍に対して戦闘を行っている集団が糾合される可能性がある。これがさらにダルフールの反乱集団と結びつくことがあれば、戦争がチャド国境からエチオピア国境まで、さらにはエリトリア国境にまで拡大する危険性もある。
世界銀行のコンサルタントであるスペンサー・ケンニ氏によると、このような戦闘状況が続くようであれば、南スーダンが石油生産に関してスーダンに依存する状況からの脱却を目指す動きが加速されることになるだろう、という。
現在南スーダンは、スーダン国内のパイプラインを利用するために法外な使用料を支払っている。しかし、南スーダンは、3つの石油精錬所の建造、南スーダンからケニアの港町ラムにかけた3600kmのパイプライン敷設を検討している。
スーダン・南スーダン国境の石油紛争について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩