【コロンボIPS=パランジョイ・グハ・タクルタ】
「政府および警察は真相究明・犯人逮捕に向けた動きを少しも示さない。仮に私が殺されるような事があれば、その犯人は『政府当局』であろう」。
生前、自らの死を予測していたような衝撃的発言を残したスリランカのジャーナリスト、ラサンサ・ビクラマトゥンガ氏は先月8日、出勤途中にオートバイに乗った2人組の男に襲われ射殺された。
同氏は政府の汚職を追及していた人物である。コロンボでは近年、政治腐敗や汚職などを取材するジャーナリストへの脅迫や暴力行為が頻発している。ビクラマトゥンガ氏の死は世界のメディアでも大きく報じられ、告別式には4,000人を超える人々が参列した。
さらに先月9日、BBCのシンハラ語放送は反政府寄りの指導者の意見を流したとして検閲を受けた。翌日、政府の広報担当者は反政府武装組織『LTTE(タミル・イーラム解放のトラ)』に同調したとされる記者らを激しく非難。22日、ベテランジャーナリストのUpali Tennakoon氏が何者かに襲撃され、またタミル人ジャーナリストのPrakash Shakthi Velupillai氏もコロンボの空港で「LTTEの支持者である」との容疑で逮捕された。
スリランカでこの15年の間に不可解な事件で死亡したジャーナリストは少なくとも30名はいるという。あるビジネスマンは「スリランカ政府はLTTE撲滅作戦の名の下、(政府に対する)批判的意見を持つ者を徹底的に排除している」と語った。
「スリランカでの報道の自由は20年以上もの間、政府によって脅かされてきた。メディア弾圧は同国の政情不安を浮き彫りにしている」と、South Asia Free Media AssociationのLakshman F.B. Gunasekara氏は語る。
2008年にスリランカで死亡したジャーナリストの数は少なくとも12名。Sunday Island誌の編集長Manik De Silva氏は「ジャーナリストのKeith Noyhar氏の誘拐・拷問事件をきっかけに、北部ジャフナや他の地域で苦難に見舞われるタミル人ジャーナリストに人々の注目が集まるようになった」と説明した。
相次ぐジャーナリストへの攻撃、弾圧について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリ=IPS Japan浅霧勝浩
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