【コロンボIPS=アマンタ・ペレラ】
昨年12月の津波(海岸線の4分の3を襲い同国の船舶の半数〈16,479隻〉を破壊、約31,229人の死者と4,100人の行方不明者、80万人の被災者を出した:IPSJ)からほぼ半年が経過した6月24日、チャンドリカ・クマラトゥンガ政権は、人民解放戦線(PLF)等の国内の強い反対を押し切って、津波被災者救援のためのLTTE〈タミル・イーラム解放の虎:通称タミールの虎〉とのジョイントメカニズムに署名した。
これにより、国際社会からの津波被災者支援受け入れ作業は進展するものと思われるが、同時にクマラトゥンガ政権は、LTTEとの連携に強く反発する国内政治勢力との厳しい対決――「政治的な津波」を覚悟しなければならない状況に追い込まれている。
スリランカでは、津波被災地に反乱軍が実効支配する北東部が含まれており、国際社会の祖国復興支援(援助表明額は30億ドルにおよぶ)を受けるには反乱軍とも提携した援助物資が被災者に行き渡るメカニズムの構築が必要とされている。一方、スリランカからの分離独立を主張している反乱軍勢力(20年の内戦で65,000人が死亡)との提携には、政権内外からの反発が大きく(PLFはLTTEとの交渉に抗議して6月16日連立政権を脱退、これにより連立与党は議会の多数議席を失っている)、同大統領は難しい政局運営を迫られていた。
しかし、包括的な援助受入計画の欠如から、折角の莫大な援助資金も活用できず、6ヶ月を経ても遅々としてすすまない復興状況(6月8日現在、9480世帯が依然としてテント生活を強いられている)に加えて、国際社会からのジョイントメカニズムを支持する声(米国津波特使クリントン前大統領も5月に被災地を訪問してメカニズムを支持)等にも後押しされて今回の合意に踏み切ったとみられている。ジョイントメカニズムの合意により津波被災者救援への道筋が開かれる一方で、連立政権の足元を揺るがす「政治的な津波」を抱え込んだクマラトゥンガ政権が直面している諸課題を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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