【ムババネIPS=マントエ・パカティ】
南部アフリカ開発共同体(SADC)の首脳会議でジェンダー議定書が調印された直後、スワジランドでは、女性およびHIV/エイズ陽性者を中心に1,000人以上が参加して、国民が深刻な貧困と病に苦しむなかで贅沢な生活を送る国王に対し抗議デモが行われた。
デモのきっかけとなったのは、国王・ムスワティ3世がSADC首脳会議に向けて出発した8月15日に、国王の13人の妻のうち8人が子ども、随行員を引き連れて未公表の任務のためプライベートジェットで中東に旅立ったことである。政府はこの旅行に関してその性質についても財源についても沈黙を守っているが、9月6日の国王の誕生日とスワジランド独立40周年を前にドバイに買い物に行ったというのが巷の憶測である。
スワジランドは依然世界でエイズ感染率がもっとも高いにもかかわらず、保健制度の資金不足は深刻であり、人口100万人のうち3分の2が食料援助に頼って暮らしている。こうした現状とは対照的な国王の派手な生活ぶりが、国内各地から多くの人を抗議に駆り立てた。
王室は13億ドルの国家予算のうち5.3%を使っているのに対し、保健・社会福祉省への割当は10.6%に過ぎない。
ジム・ガマ(Traditional Prime Minister)は、抗議はスワジランドの文化に反するものであり、無礼な女性たちの行動だと非難。「女性がたとえ不当な扱いをされた時でも、男性が代弁するのがスワジランドの文化だ」と述べた。
スワジランドの女性が国王を直接非難し、政府に対し国民の血税を使った国王の贅沢な生活に対応を求めたのは初めてのことである。女性の権利団体を率いるSwaziland Positive Living for Life(SWAPOL)の指導者Siphiwe Hlophe氏は「女性として、私たちには表現の自由、生活、治療、ケアの権利がある。このことを抗議デモを通じて要求した」と訴えている。
抗議の声を上げたスワジランドの女性たちについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan