【ドゥシャンベIPS=ロクサナ・サベリ】
6日に行われるタジキスタンの大統領選では、1992年以来政権を維持しているエモマリ・ラフモノフ大統領の圧倒的勝利が予想される。
反対派は、同大統領が独立系メディアに圧力を加え、反対派リーダーを投獄したと批判している。また、2大野党は、不正選挙を理由に投票不参加を表明している。しかし、これらの批判にも拘らず、多くの市民はラフモノフ氏以外にタジキスタンの安定を維持できる者はいないとして、同氏を支持している。
タジキスタンは、91年にソ連から独立。その後始まった内戦は、ラフモノフ氏が、中央アジアで唯一の合法イスラム政党でありタジキスタンの最大野党であるIslamic Revival Party(イスラム復活党:IRP)を含む「統一タジク反対軍」(United Tajik Opposition)に政治勢力の30%を認める和平協定を結んだことで1997年に終結した。
市民の最大要求は、経済の発展である。世界銀行によると、タジキスタン市民の64%が1日2.15ドル以下で生活しているという。また、エコノミストの情報では、約650万人がロシアを始めとする国外に出稼ぎに行き、母国の家族に送金しているという。同国の経済は、主要輸出品であるアルミ、綿花の価格値上がりにより幾分向上しているが、匿名希望のあるアナリストは「政府は、腐敗取締り、税収、海外投資誘致のための環境作りに努力する必要がある」と語っている。
海外専門家によれば、ラフモノフ大統領はまた国際舞台でも重要な役割を担うようになっているという。同政府は、米国に対しアフガニスタンへのアクセスのため領空通過権を認めた。また、米国務省によれば、両国は麻薬密売取締りおよびイスラム過激派の域内侵入阻止で協力していると発表している。
しかし、反対派は「ラフモノフ大統領は、国内批判を抑えるためテロおよびイスラム過激派の脅威を強調し過ぎる。行き過ぎると、貧しいタジキスタンの若者を過激化させることになりかねない」と批判している。現在、ラフモノフ氏は、2020年までの政権居残りを目指し憲法改正を画策している。現役大統領の再選が確実視されるタジキスタンの大統領選挙について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan