【アブダビWAM】
「最近勃発したパキスタン軍司令部に対する襲撃は、パキスタン軍が南ワジリスタン(アフガン―パキスタン)国境地帯のアルカイダ及びタリバン軍事拠点への新たな攻勢をまさに仕掛けようとする矢先に実行に移されたものであり、結果的に同軍当局を翻弄する結果となった。」と、アラブ首長国(UAE)の有力氏は10月12日付の論説の中で報じた。
ドバイに本部を置く『ガルフ・ニュース(Gulf News)』紙は、「パキスタンで最も力がある国軍の中核に対してこのような大胆な攻撃が行われたということは、これらの反政府武装勢力が、アフガニスタンとパキスタン両国における彼らの支配地域に対して何カ月にもわたって掃討作戦を実施してきたにも関わらず、依然として周到な計画の下に大胆な軍事作戦を実施す能力を有していることを証明した。」と報じた。
同紙はまた、「パキスタン国軍本部司令部襲撃に続いてアフガニスタン、パキスタン両国の様々な施設に対して武装勢力による一連の軍事作戦が実施され、その結果、カブールでは標的となったインド大使館で職員17名が死亡、イスラマバードでは国連事務所が襲われ5名の職員が犠牲となった。また16日にはペシャワールで自爆テロと思われる事件で49名が殺害されている。」と報じた。
このような武装勢力を打ち破るための統一された対処法は未だ存在しない。
「有効な対処法の一部として、昨年のスワット渓谷や今後数週間に亘って展開予定のワジリスタン地域といった明らかな反政府勢力拠点に対する軍事掃討作戦が挙げられる。そして同様の観点から2点目として諜報網を活用した武装民兵の補足と逮捕、そして3点目かつ重要な対処法として、武装勢力と支援者を分断し、反政府武装活動を大規模かつ民衆に支持されたものから小規模のテロリスト集団へと勢力を削減していくことが挙げられる。」と、同紙は付け加えた。
同紙は、「アフガニスタンのNATO軍とパキスタンの国軍は、軍事掃討作戦と武装勢力補足を目的とした諜報作戦のみをあまりに重視した結果、アルカイダとタリバンの過激派をパシュトゥーン人民衆から分断することに失敗してしまった。それどころか稚拙な軍事作戦で地元民衆の支持を失い、かえって反政府武装勢力に対する支持を増やしてしまった。」と締めくくった。
翻訳=IPS Japan浅霧勝浩