【ダルエスサラームIDN=キジト・マコエ、グッドホープ・アマニ】
ダルエスサラーム郊外、ゴンゴ・ラムボトは、蒸し暑い典型的な午後を迎えていた。アブドゥラー・ニャンビさんは、舗装材を作るために、プラスチックごみを鉄と一緒に巨大な金属炉に投げ込む仕事に精を出していた。
黄色のマスクを装着したニャンビさんは、溶けたプラスチックを混ぜる一方で、その上に砂をまき散らし、固めていく。「舗装材を作るためにどんなプラスチックでも使います。」と、黄色いTシャツを汗だくにしたニャンビさんは語った。激しい火がプラスチックを溶かして濃い液体に変え、黒い煙が空に立ち上っている。
「舗装材に十分な強度と防水機能を持たせるために、溶けたプラスチックに特定の割合で砂を加えます。この極めて安価で環境にやさしい技術は、街をプラスチックの脅威から守ることにつながるのです。」とニャンビさんは語った。
この26歳の起業家は、この街のプラスチックごみの管理問題に懸念をもつ若者からなる新興企業の共同保有者だ。昨年発足した「プラスチック・リサイクリング青年組織」(PREYO)という名のこの企業はすでに800トンのプラごみを処理し、建築資材に変えてきた。
煙が立ちのぼるタンザニアの商業都市の環境活動家らは、木材をプラ資源に置き換えることで、急速に進行したタンザニアの森林破壊を抑える狙いで、大量のプラごみを建築資材に変えてきた。
PREYOの別の創設者であるリベラタ・カワマラさん(24)は、環境保護への熱意を抑えきれず、以前の物流の仕事を離れた。この活気に満ちた都市の自然環境を汚す大量のプラごみを拾い、それらを舗装材やプラスチック・フラワー等の建築資材に変えている。
「環境を保護しながら、同時に収入を生むようなことをしたいと常に思っていました。」とカワマラさんは語った。
熱意に駆り立てられたカワマラさんは、都会に散らばるプラごみを清掃し、仕事を創出するとともに、木々の保護に努めている。
政府統計によれば人口440万人、アフリカで最も急成長している都市の1つであるダルエスサラームは急速に都市化している。インフラは不足し、住民の7割は、基本的な生活環境や衛生を欠いた雑居地帯へと追いやられている。
毎日農村地帯から流入する大量の移住者が、すでに老朽化した都市インフラを圧迫しており、プラごみの処理対策の不備といった多くの問題を引き起こしている。プラごみは、景観を汚し、水路を詰まらせ、海を汚染し、多くの人々の生存そのものを脅かしている
カマワラさんによると、彼女の会社がプラスチックから作った丸太の製材や花、ブロックは、プラゴミに対する地域の考え方を変えつつある、という。人口密度の高い地区の住民らが、建築資材としてこれらのリサイクル商品を使用しつつあるのだ。
「地域の反応をみて、とても嬉しく思います。もっと頑張ろうという気になります。」と彼女はIDNの取材に対して語った。
タンザニアはビニール袋の使用を完全に禁止しており、政府は、環境汚染抑制策の一環として、違反者に対する厳しい取り締まりを言明している。
同国の『全国環境統計報告2017年版』によると、ダルエスサラームでは1日あたり4600トン以上のゴミが生まれ、2025年までには1万2000トンまで増えると見られている。
廃棄ペットボトルの回収はますます儲かるビジネスになりつつあるが、市当局には適切なごみ処理を行うための一貫した戦略とメカニズムがない、と識者らは考えている。
「毎日出てくるゴミの管理を小さな会社に頼るわけにはいきません。政府はこの問題に対処するための資源をもっと投じるべきです。」とダルエスサラーム大学のエムロッド・エリサンテ教授(環境工学)は語った。
PREYO設立の構想は、国連が主催した展示でカマワラさんとニャンビさんが出会った2018年初頭に始まった。この展示で彼らは、プラごみを有益な建築資材に転換する技術を披露した。
彼らは、短い会話を交わした後、雇用創出にプラゴミを有効活用するという夢を実現するために、協力していくことにした。
カワマラさんと彼の支援者らは、チームとしての活動を楽しんでいる。ある者はペットボトルやビニール袋を集め、またある者は金属炉を担当している。
カワマラさんによれば、この会社の目的の一つは、煉瓦用の砂の過剰使用を抑制する点にある。プラスチック製ブロックを使えば砂の使用が抑えられ、テメケ地域の土壌劣化を防ぐことができる。
また彼女は、会社では3.5キログラムの舗装材を600タンザニア・シリング(0.25ドル)で製造でき、しかも耐久性に優れ防水性もあるという。
会社が直面している問題の一つは、炉から排出される煙をフィルターにかける機械がないことだ。「煙の問題を最終的に解決できる新しい機械を導入したい。」とカワマラさんは語った。
カワマラさんは、タンザニアの若年層の間では失業問題が深刻化しているので、将来的には、勤勉な若者に雇用を提供するような立場に彼女の会社はなっていくだろうと語った。
PREYOは現在、回収したペットボトル1キロあたり0.12ドルを支払っている。
現在のところ、日産でプラ板が100枚、プラ部品が40~60個といったところだが、高性能加工機械を導入すれば、少なくとも200枚の生産にまで持っていきたいと考えている。
「私は非常に楽観しています。将来は明るいと思っています。」とカワマラさんは語った。(原文へ)
翻訳=INPS Japan
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