【ロッテルダムIPS=イレーヌ・デベッテ】
7月17日で、国際刑事裁判所(ICC)を設立するローマ規程が採択されて10年になる。ICCは、大量虐殺(ジェノサイド)、戦争犯罪、人道に対する罪を犯したと疑われる個人を裁くための、初の恒久的な国際法廷だ。
1989年、トリニダード・トバゴ政府は、恒久的な刑事法廷を設立する提案を行った。その後、ユーゴスラビアやルワンダに関して特別法廷が設置されたが、1994年になって、恒久法廷のための規程がいよいよ起草された。そして、1998年にローマ規程が採択され、2002年に60ヶ国の批准をもって規程は発効した。現在、106ヶ国が批准を済ませている。しかし、米国・中国・インド・イスラエルなど批准していない国もある。
最近でもさまざまな動きが起こっている。今年7月はじめには、旧コンゴの反体制指導者ジャン-ピエール・ベンバの身柄がベルギーからICC本部のあるハーグに移された。7月14日には、ルイス・モレノ-オカンポ検事が、スーダンのバシール大統領の逮捕状を請求した。ダルフール地区で発生している武力紛争に関して、戦争犯罪、人道に反する罪、大量虐殺に関与した容疑だ。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、7月11日、ICCの5年間にわたる活動を評価した報告書を発表した。捜査や起訴、現地事務所の開設、証人の保護などの点で進展があったと報告書は評価している。
しかし、たとえば、コンゴの元軍閥トーマス・ルバンガに対する起訴手続きが停止した事案は、ICCの抱える困難を示している。捜査にあたる人間の不足が根本的な問題だと報告書は指摘する。ICCには独自の警察力がなく、逮捕状を執行しようとすれば、各国政府の警察に依存せざるをえないからだ。
全世界2500のNGOを束ねる「国際法廷を求める連合」(CICC)は、ICC10周年を記念して、各種イベントを開いている。10周年を迎えたICCの話題について報告する。(原文へ)
翻訳=山口響/IPS Japan浅霧勝浩