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|宗教|大手主要メディアによるテロ

【アブダビWAM】

アブダビに本拠を置くアラブ首長国連邦(UAE)の『カリージ・タイムズ』は、「宗教を悪者扱いする」と題する社説で、暴力行為の扇動に大手主要メディアを利用することを非難した国連人権理事会の最近の決議について次のように論評した。 

「国連人権理事会は、『暴力行為、外国人嫌悪やそれに関連する不寛容、およびイスラム教徒に対する差別を扇動する』ために大手主要メディアを利用することを非難する決議を採択した。これは、時宜を得た行動と言える。ただ採択において、賛成票は理事会47理事国中21カ国にとどまり、14カ国が棄権、10カ国が反対票を投じた」。 

「欧州連合に関しては、議長国スロベニアが反対票を投じた。しかしこれを相殺するものとして、物議を醸しているオランダの国会議員ヘールト・ウイルダース(Geert Wilders)氏の反イスラム教映画について『憎悪を煽る以外の何ものでもない』と厳しく非難したことが特筆されよう」。 

「オランダ政府も、『自由と尊重の両方が成り立つ』環境を提言して、賢明にも、常軌を逸した国会議員の行動と距離を置いている。同国政権は、冒涜的な風刺画が残した余波をおそらくよく覚えているのだろう。あの時には、表現の自由としてその行動を支持した者たちは結局のところ、表現の名を借りて挑発を促すことへの非難の声になんとか反論しようとして、自らの理念と自己矛盾を起こしてしまったのである」。

 「当初のニュース報道から判断して、欧州のイスラム・コミュニティはあらゆる関係者の中でもとりわけ賢明なことに、前回のようには街頭で抗議して怒りをあらわにすることは避けることを決めたようである。だが、欧州以外での反応は大きく異なるようだ。イランとパキスタンでは政府の激しい反応を呼んだ。伝統的な聖職者が有力な地位を占めるイスラム諸国は、当然、怒りをあらわにする意向だ」。 

「ウイルダースの短編映画が公開された今、こうしたイニシアティブを支持する者たちが、そのようなことからは益あることは生まれないこと、その理由を理解できるようになってほしいと願うばかりである。イスラムと西側の分裂の橋渡しをしようという努力にようやくなんとか反応が出てきつつあるこの時期に、映画によって助長されたのは、予想した通り、憎悪だけである。自由を愛する西側のより多くの人々が、ウイルダースのような試みは政略的なものであり、強硬派である自らの野望を遂行するがために敵意を増幅するよう入念に考え抜かれたものであるという事実に気付くまで、事態は好ましい方向には進まないだろう」。

「同様の傾向を帯びた過激主義を自由に放置しておけば、今日の世界を少なからず変えるおそれのある不愉快な事件がさらに増えることになるだろう。したがって、こうした過激主義が勢いを得て阻止し難いものとなる前にそれを抑え込むための大いなる努力が、真に憂慮する人々に求められている。欧州には、間違いなく、果たすべき大きな役割がある。しかし理解しやすい理念を利用して自らの歪んだ目的の達成だけを望んでいるようなウイルダースなどの好ましからぬ人々を放置しているかぎり、欧州はその役割を果たすことはできないだろう」。 

翻訳=IPS Japan 浅霧勝浩 

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