地域アジア・太平洋|タイ‐米国|エイズ薬の取り扱いが、次回自由貿易交渉の焦点になる

|タイ‐米国|エイズ薬の取り扱いが、次回自由貿易交渉の焦点になる

【バンコクIPS=マルワーン・マカン・マルカール】

「タイ国民が適正な価格で医薬品やヘルスケアにアクセスできる権利は守られなければならない」と、スチャイ・チャロエンラタナクル保健相は、先週、記者団に対して語った。

タイ―米国間の第4次自由貿易交渉(FTA)が、7月10日から15日の間、米国モンタナ州で開催予定であるが、タイ政府は、次回交渉の結果(新たに協議項目に「知的財産保護」項目が追加された)、抗レトロ薬(エイズ薬)が従来のように安価で製造できなくなるのではないかと懸念を深めている(タイ政府がFTAに関してこのような懸念を一般に発表したのは初めて)。

 タイ政府は現在、国立製薬局を通じて正規のエイズ薬(250ドル~750ドル)よりはるかに安価なジェネリック薬(30ドル)を生産しており、国内のHIV/AIDS感染者はもとより近隣の貧困国(カンボジア、ラオス、ミャンマー)にもジェネリック薬の提供を行っている。

米政府は、5月になって、ジェネリック薬を使用しているタイ国民(HIV/AIDS感染者)が自由貿易交渉によって影響を受けることはないとの見解を示したが、一方で、チュラロンコン大学の研究者は、米国が締結済みのシンガポール、チリとの自由貿易合意文書の中に、「薬の知的所有権が従来の20年から25年への延長」を目指す(=そうなればタイはジェネリック薬の製造ができなくなる)箇所を指摘し、米側の意図はジェネリック薬の規制あるとの見解を示した。

ジェネリック薬の今後を左右する来月のFTA交渉を控えて、タイで浮上している諸議論を報告する。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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