【アクラIPS=フランシス・コクツェ】
去年ガーナの首都アクラで米農家たちは外国からの米の輸入を許可し国内農家の生計を壊している政府に抗議のデモを行った。デモに積極的に参加している1人であるガーナ労働組合会議のGeneral Agricultural Worker’s Union(GAWU)副書記長Edward Kareweh氏は、米の規制緩和政策をガーナ政府に取らせた結果、国内米農家への補助金を廃止につながったとして世界銀行と国際通貨基金を非難している。
1980年代までは米農家だったKareweh氏はIPSのインタビューに応じ、政府が輸入米を許可した結果、米で生計を立ててきた北部地域の経済を圧迫している、と言う。
農務省のデータによるとガーナ国内の米の消費量は1990年前半以降増加しており、2005年の米消費量は450,000トンから500,000トンの間にまで上った。
日本の国際協力機構(JICA)の調査によると、ガーナ国内の米生産は2006年まで約290,000トンであったことから、米の供給不足は明らかである。
米の輸入が増えた原因は国内供給不足を補うためであるという意見があるが、Kareweh氏は異議を唱える。「農家の生産量増加を支援する政策枠組みが存在しないことが供給不足の原因だ。国内の米の生産が伸びないのは、市場が海外からの安い輸入米で独占されており、ガーナ米農家が市場にアクセスできないためである」
一方、主要な輸入業者であるFinetradeのJohn Awumi氏は「ガーナの場合、国内の米の生産量が人口に対して十分ではないから輸入米を使っているので、輸入することで国内農家をつぶすことにはならない」と反論する。Awumi氏は政府が今米の輸入を止めたところで解決にはならないと言う。社会基盤が整っていないガーナで米の生産方法を改善して継続的に十分な供給ができるようになるまでに10年はかかると見ているからである。
ガーナの農家を元気づけるようなニュースもある。北部地域農務ディレクターであるSylvester Adongoは昨年のクリスマス直前に、米農家813人に農地と認定されたイネ種子と10,000ヘクタールを耕作するのに必要な肥料を供給し支援することを発表した。
Adongo氏によると、1年に200,000トンの米を生産できる土地が低地の3地域に400,000ヘクタールある。これに加え政府はガーナ東部のAveyimeで放棄されていた灌漑設備を復活させようとしており、成功すれば米の生産量を上げることができる。
ガーナの米生産の現状について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩