ニュース米国、大陸間弾道ミサイル「ミニットマンⅢ」発射実験を実施

米国、大陸間弾道ミサイル「ミニットマンⅢ」発射実験を実施

【トロントIDN=J・C・スレシュ】

米朝間の緊張がこれまでになく高まるなか、両国は軍事力を誇示し、陰に陽に相手を挑発している。米国は、4月26日にカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から大陸間弾道ミサイル「ミニットマンⅢ」(爆弾を搭載しない状態にあるもの)の発射実験を行うと発表した。

カリフォルニア州に本部を置く核時代平和財団のデイビッド・クリーガー会長は、試射に先立ち声明を発表し、「米国は、北朝鮮の実験は脅威を与え状況を不安定化させるものとして強く非難しながら、自国の試射は国防のためだと正当化しており、これは明らかなダブルスタンダード(二重基準)だ。」と批判した。

クリーガー会長はまた、「軍事挑発ではなく外交が必要です。ツイートであれ、核発射能力を持つ空母打撃団や核弾頭搭載可能なミサイル発射であれ、危険度を増すだけです。」と付け加えた。

David Krieger/ Rick Carter
David Krieger/ Rick Carter

しかし、これは米国が実施する初めての実験ではない。米空軍は、第90ミサイル航空団が4月10日から12日にかけてワイオミング州ワーレン空軍基地でミニットマン(SELM)の電子発射シミュレーションの実験に成功したと13日に発表した。声明は、「SELMは国民のために揺るぎなき核抑止力を提供する同航空団の能力を示した」と述べている。

「第90ミサイル航空団は、150基の大陸間弾道ミサイル(ICBM)『ミニットマンⅢ』と、関連の発射施設を維持し運用することで国の戦略防衛に寄与しています。SELM実験の成功は、安全かつ保安が確保された状態でのICBMシステムの効果を証明しました。」とクリストファー・ルアノ三等軍曹は語った。

第625戦略作戦飛行大隊のディーン・コノビッチ中佐は、「ミニットマンⅢの電子発射シュミレーション実験は、我々のICBMの能力が、安全で、保安が確保され、致命的であり、発射の準備が整っていることを、米国民や我々の同盟国、そして敵対相手に示すシグナルです。」と指摘したうえで、「この実験は、電子的に孤立しているICBMの陸上および空での指揮・統制要素に焦点を当てたものであり、配備された我が国のICBMが重大な発射命令に対応できることを示したものです。」と語った。

4月26日の発射実験を前に、ドナルド・トランプ大統領は24日、国連安保理構成国の大使らに対して、国連がこれまでは避けてきた問題に今後取り組まねばならないだろうと語った。

ホワイトハウスで大使らと開いたビジネスランチの冒頭でトランプ大統領は、「今後、皆様方は忙しくなります。」と発言したと報じられている。この場には、4月の国連安保理議長であるニッキー・ヘイリー米国連大使も同席していた。

トランプ大統領はシリア政府による自国市民への化学兵器使用の問題を挙げて、「国連は特定の問題を取り上げるのを好まないようだ。」と指摘したうえで、「私は安保理に対して、協力してこれら多くの脅威のすべてに対して行動を取るよう求めます。」と語った。

トランプ大統領はまた、緊張が高まる北朝鮮との関係についても触れ、この共産主義独裁国家は「世界にとっての真の脅威だ」と語った。そして居並ぶ大使とその配偶者に対して、「北朝鮮は世界の大問題」であり、「人々は数十年にわたってこの問題を見て見ぬふりをしてきた。」と語った。

発表は4月21日、第30宇宙航空団広報部によってなされた。空軍グローバル打撃司令部によると、「ICBM発射実験プログラムの目的は、兵器システムの効果、即応性、正確性を確認・検証するものだ」という。ICBMには核弾頭を搭載する能力がある。

第30宇宙航空団司令官のジョン・モス大佐は「我々は再び空軍グローバル打撃司令部と協力して、ミニットマンⅢの発射を成功させる準備を進めています。こうしたミニットマンⅢの発射実験はわが国の核戦力の状態を検証し、核能力を示すために不可欠なものです。わが国のためこの任務を実施すべく、第576発射実験大隊の諸君と協力してきた長い歴史を誇りに思っています。」と語った。

第576発射実験大隊は、ミサイルの追尾、遠隔測定、指揮破壊システムの運用を担当している。

米国は現在、核弾頭を搭載した約400基のICBM「ミニットマンⅢ」をコロラド州、モンタナ州、ノースダコタ州、ワイオミング州に配備している。(原文へ

*米国内の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機などを一元管理・運用している米空軍グローバル攻撃司令部によると、同基地から発射されたミニットマン3は約6800キロ飛行し、太平洋・マーシャル諸島クエゼリン環礁付近に到達した。

翻訳=INPS Japan

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