【アブダビWAM】
「シリアの現状は全ての面で悲惨である。内戦はエスカレートし、凄まじい破壊と信じがたいほどの民間人の死傷者をもたらしている。」と5月7日付UAEの英字日刊紙が報じた。
「このまま内戦が長期化すれば、シリアの社会構造そのものが崩壊する危険性があり、紛争の人道的側面に対する支援が急務である。最近もアル・バイダとバニヤで女性と子供を含む数十人が無残に虐殺された事件が発生している。」とガルフ・ニュースが社説の中で報じた。
国連児童基金(UNICEF)は声明の中で、「これらの虐殺事件は、シリア内戦の最大の犠牲者が、無実の市民、とりわけ子ども達であることを改めて示している。」と述べている。このような事例は今回のシリア内戦が最初でも最後でもないだろう。しかし、この内戦において最も高い代償を強いられるのは、数百万人におよぶ無実の民間人であるのは明らかである。
またこの紛争は、諸都市や村々から住民がそっくり流出していくという危険な側面を内包している。既に難を逃れて550万人以上のシリア国民が住み慣れた家を後にしており、ユニセフが「重度のストレス状態にある」とする近隣諸国に、少なくとも140万人が難民として流入している。
また、最近はアサド政権側と反乱勢力双方が、未確認情報ながら化学兵器を使用したとの報告や、拷問を行ったという報告がされており、事態の進展に対する不安が一層高まっている。
シリア国民はこれからどれほどの期間、そしてどこまで紛争の苦しみに耐えなければならないのだろうか?そして国際社会は、どこまでシリア国民の死傷者が出れば、介入が必要だと判断するのだろうか?列強諸国は、シリア全土が戦場と化してはじめて介入に踏み切るのだろうか?
「現在シリアでは、人道上の対応を必要とする深刻な状況が進行しており、国際人道援助機関が、取り組んでいかなければならない(下記の国際人道諸機関の代表による映像資料を参照)。そしてより重要なことは、シリアの社会構造が崩壊してしまう前に、紛争を終結へと導けるような妥当な出口策を、列強諸国が支持し追求することである。」と、ガルフ・ニュース紙は結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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