【アブダビWAM】
アラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙は、5月6日、イスラエルが前日シリア首都圏3か所の軍事施設に対して行った空爆(死者42人、100人が行方不明)について、「イスラエルにシリア情勢に干渉する権利はない」と非難した。
イスラエルは、シリアからレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラにイラン製武器が輸送されるのを阻止するために空爆したとしている。
また同紙は、「イスラエルの攻撃は、シリア内戦の状況を一層悪化させ、地域全体を巻き込む紛争へと発展するリスクを高めたのみだ。」と報じた。
ガルフ・ニュース紙は「イスラエルにシリア情勢に干渉する権利なし」と題した論説の中で、「シリアの内政にあえて干渉する諸外国が存在する限り、シリア内戦が終息する見込みはない。今日、シリアは多くの外的要因が行方を左右する戦場と化している。」
「従って、イスラエルによる最近の直接軍事介入はシリア情勢をさらに悪化させるのみであり、非難されるべきである。」と同紙は付加えた。
ナショナル紙は、「イスラエルの攻撃は、厄介な紛争を泥沼化させる」と題した論説の中で、「3日と5日にシリアの軍事施設を空爆したイスラエルの狙いは、複雑なものではない。イスラエルはこれまでも、自らの国益を追求するために、行動をおこすことを躊躇したことがない。その際、国境の問題など殆ど顧みない。」また、「これらの空爆は、シリアにさらなる苦痛を強いることと引き換えに、イスラエルの目的を果たした。」と報じた。
ドバイに本拠を置くカリージ・タイムスは、「戦争がシリアに暗い影を落とす」と題した論説の中で、「イスラエルは攻勢に出ている。(前回の爆撃から)再び、イスラエルの戦闘機がシリアの領空を侵犯し、今度は首都ダマスカスの郊外を爆撃した。」
「今回の空爆の標的となり破壊されたのは、研究センターを擁するジャムヤラ軍事施設と思われる。空爆の規模は凄まじく、あたかも地震のように爆音が鳴り響き、燃え盛る炎はダマスカスの夜空を赤々と照らした。」
現時点でシリアはまだ報復に出ていないが、イスラエルによる軍事攻撃が既に行われたのは言うまでもなく、シリア危機を一層悪化させ、紛争を地域全体に拡大する危険性を高めることとなった。
「この空爆は、実施されるべきではなかったし、西側諸国、とりわけ米国には、イスラエルの強硬政策を思いとどまらせる義務があった。」と、カリージ・タイムス紙は結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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