【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】
ジョー・バイデン米大統領などの世界の指導者が集う主要な環境関連会議である国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開会を前にして、ウガンダ政府が、2つの東アフリカ諸国を貫通して西ウガンダの原油を国際市場に供給するための全長900マイル・総額35億ドルのパイプライン計画に反対する活動家6人を逮捕した。
これ以上に悪いタイミングもない。
世界的な環境団体「地球の友」「サバイバル」によると、活動家らはカンパラ近郊の警察署に未起訴状態で留置されている。両団体は活動家の即時釈放を求めている。
両団体は、多額の投資を伴うこの石油輸送計画を批判する人々への典型的な嫌がらせだと批判する。
主要な気候サミットである今回の国連会議は、10月31日から11月12日までスコットランドのグラスゴーで開催される。COP26と呼ばれるこの会議には、英国のボリス・ジョンソン首相、同国の女王、イスラエルのナフタリ・ベネット首相、オーストラリアのスコット・モリソン首相、米国のジョー・バイデン大統領、スコットランドのニコラ・スタージョン第一首相ら120人の世界の指導者が集う。約2万5000人の代表団が参加予定だ。
ジョン・ケリー気候問題特別大使が会議の議長を務める。
環境活動家によれば、このパイプラインは、野生生物の保全区やビクトリア湖の水源地域など、パイプルート沿いの微妙な自然環境を破壊することになるだろうという。ウガンダ・タンザニア・コンゴ民主共和国・ケニアの地域社会、水供給、生物多様性に重大な脅威をもたらしかねない。
石油産業はしばしば、パイプラインは石油やガスを別の場所に輸送する最も安全かつクリーンな方法であると主張する。石油の漏出や溢れは「めったにない」という。問題は、そのパイプラインそのものが人々や近くの環境に広範な被害をもたらすということだ。
パイプラインの漏出や溢れ、割れ、爆発はよく起こっている。原油が漏出する映像をニュースで見ることはきわめて多いが、それが周辺の野生生物に与える影響は特に甚大だ。石油はあらゆるものに吸着し、その中を動き回ったり石油を飲み込んでしまったりした野生生物の命を奪い、地面に毒物として流れ、地域の水源を汚染することになる。
ティップ・オブ・ザ・ミット流域評議会によれば、最悪なことは、石油は環境が「浄化」された後でも何年にもわたって環境中に残るということだ。
ウガンダにこの教訓が伝えられるべきかもしれない。
これまでのところ、ウガンダ・タンザニア両政府が、ウガンダのマーチソン滝国立公園からタンザニアのインド洋沿いにあるタンガ港までのパイプラインを建設するために、フランスの石油大手トタル、中国海洋石油集団(CNOOC)と協定を結んでいる。
2025年にも最初の石油輸出が行われる予定だ。
反対派は、保護区域770平方マイルが影響を受け、1万2000世帯が移住させられたとしている。
この35億ドルのパイプラインは、完成時には、ウガンダ最大の国立公園内にある油井130か所以上から重油を運ぶ予定になっているが、この公園内には、絶滅の危機にあるアフリカゾウやライオン、数多くのナイルワニ、400種以上の鳥が生息している。自然保護家らは、野生生物が危機に晒されるだけではなく、汚れた燃料に投資を固定することによって地球温暖化を抑制しようという取り組みにも反することになるとしている。
「食料安全保障・環境に関するアフリカイニシアチブ」のアトゥヘイレ・ブライアン氏は、ウェブサイト「モンガベイ」の電子メール取材に対して、「私たちはウガンダの産油地帯で活動している。多くの産油地帯とは違って砂漠ではなく、極めて生物の多様な地域だ。」と答えている。「秘密裏に結ばれた協定などあっていいはずがないが、それがウガンダの現状だ。」
「我が社は、我々が陸上で実施する計画が微妙な環境と社会に与える影響を十分考慮に入れている」とトタル社のCEOパトリック・プヤンネ氏は語った。
しかし、パイプラインに反対するNGOの連合は、パイプラインの計画プロセスは全体として不透明であり、司法・立法の手続きを無視していると批判する。
他方で、セネガルでは、数百人の女性が気候変動への関心を高めるためにダカールでデモを行った。
彼女たちの目的は、気候問題に人々を巻き込むことであり、セネガルやアフリカの女性として彼女たちが持っている気候変動への懸念を、グラスゴーで開かれる気候サミットに反映させることにある。(原文へ)
INPS Japan
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