【プラハIPS=ゾルタン・ドゥジジン】
ウクライナ指導部が北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指した新たな動きをはじめ、加盟論議が再燃している。
そのきっかけとなったのは、ユーシチェンコ大統領、ティモシェンコ首相、ヤツェニューク最高会議議長の3者が、NATOに対して、4月にブカレストで行われるNATOサミットにおいてウクライナを「加盟行動計画」(MAP、Membership Action Plan)の一員に加えるよう要請する書簡を送ったことであった。
【IPSJ注:MAPとは、NATOへの正式加盟を検討している国家が加盟の条件整備に向けた支援を受けるために参加しなければいけないプログラムのこと】。
これまで、ウクライナ指導部がNATO加盟に向けてこれほどはっきりと発言したことはなかった。しかし、内外にはさまざまなハードルがある。
まずは、ウクライナの加盟に反対してるロシアの存在だ。ユーシチェンコ大統領は、ロシアの恐怖心を打ち消すために、NATOに加盟しても外国軍基地を国内に置かせないようにすると約束している。他方で、ロシアのプーチン大統領は、NATO加盟に反対しつつも、ガス問題で最近会談したユーシチェンコ大統領に対して、加入問題で内政干渉しないことを約束してもいる。
しかし、事情はきわめて複雑だ。ウクライナにはロシアとの軍事協力関係もある。他方で、ウクライナ・ロシア両国はNATOとも軍事演習を行っているし、ウクライナはイラク、アフガニスタン、バルカン半島でNATOの作戦にも加わっている。
ウクライナの国内世論はNATO加盟にあまり好意的でない。各種世論調査では、約半数が加盟に反対で、賛成は最大で30%ほどしかない。反対論者が国土の西側に、賛成論者が東側・南側に固まる傾向がある。「国際政策研究センター」(キエフ)のナタルヤ・シャポワロワ氏は、2009年の大統領選挙で勝利をねらっているティモシェンコ首相は、国民世論を気にしてNATO加盟を強く打ち出すことができないだろうと見ている。
ウクライナのNATO加盟論議について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan