【ニューヨークIDN=J.ナストラニス】
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ジョー・バイデン大統領が「気候変動に関するパリ協定に再加入し、気候危機に立ち向かうために野心的な行動をとる、各国、地方自治体、経済界、民衆の間に広がる連合に加盟するための手続きを始めたこと」を温かく歓迎した。バイデン大統領は、カマラ・ハリス副大統領と共に1月20日の就任式に臨んだ後、米国を代表してパリ協定への復帰を指示する大統領令に署名した。
グテーレス事務総長は声明の中で、「去年の気候野心サミットには世界の二酸化炭素の半分を生み出す国々が参加して2050年カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)の実現を目指すことを宣言したが、今日のバイデン大統領の決断により、世界の3分の2をカバーできる。しかし依然として道のりは遠い。気候危機は引き続き悪化しており、(産業革命前からの)気温上昇を摂氏1.5度以下に抑え、最も弱い立場にいる人々を守れるような気候変動により適応できる社会を構築するには、残された時間はなくなってきている。」と語った。
グテーレス事務総長はまた、米新政権が、2030年までの新たなCO2削減目標の再提出や緑の基金拠出を通じて、カーボンニュートラルの実現に向けた国際的な取り組みを加速させるのを楽しみにしている、と語った。
事務総長はまた、「気候危機を乗り越え、コロナ禍からより健全に回復するために、バイデン政権やその他首脳達と密接に取り組んでいく。」と語った。
バイデン大統領は、就任式の演説の中で、新型コロナウィルス感染症で命を落とした40万人の国民と遺族のために黙とうを捧げるよう呼びかけ、さらに、「(連帯すれば)私たちは、不正を正し、国民に良い仕事を提供できます。子どもたちを安全な学校で教えることができます。恐ろしい新型コロナウィルスを克服し、中産階級を立て直し、医療保険を全ての人に保証できるのです。」と語った。
バイデン大統領は、「今日はアメリカの日です。民主主義の日です。歴史と希望の日、再生と決意の日です。私たちは、民主主義は尊く脆いものだと改めて学びました。」と語った。
そして、「米国の物語を紡いできたのは一部の人間ではなく、より完璧な団結を追求する『われわれ人民』全員です。」と指摘したうえで、「もっと先に進まなければならない。」と語った。
バイデン大統領は、「私たちは速さと切迫感をもって前進します。この国には修復し回復すべきもの多くあります。パンデミックや社会不安、人種問題の不安、失業、脆弱な経済に見舞われた困難な時に、構築し、そして獲得すべきものが多くあるのです。」と語った。
2週間前に暴徒が襲撃した議事堂の西側バルコニー立ったバイデン大統領は、政治的過激主義や国内テロ、白人至上主義を非難した。「私たちは米国の魂を回復し将来を守るために、これらの課題に正面から立ち向かわなければならないし、打倒します。」と語った。
バイデン大統領は、「怒り、憤慨、憎悪、過激主義、無法状態、暴力、疫病、失業そして失望という私たちが直面している共通の敵と戦う大義に参加してください。団結によって私たちは、素晴らしいことや重要なことを成し遂げられるのです。」と述べ、全てのアメリカ国民に団結を呼びかけた。
さらに、「アメリカ人はお互いを敵対する相手ではなく、隣人として見ることができます。お互いを尊重し、敬意をこめて接し、協力し合い、叫ぶのをやめて、ヒートアップした温度を下げることができます。それができなければこの国に平和と進歩はありません。」と指摘した。
大統領はまた、「アメリカ人は、『(保守対リベラルという)この品のない戦い』を終わらせなくてはなりません。」と指摘したうえで、「それは魂を開き、模範となることによる力で実現できます。」と語った。
「連帯して前進すれば決して失敗しないと保証します。アメリカでは、国民がまとまって行動したのに失敗したことなど、一度も、まったくないのですから。今この時、この場所から、みんなして新しく再出発しましょう。再び互いの話に耳を傾け、お互いを尊重するようにしましょう。政治というのは、何もかも破壊してしまう業火でなくても良いのです。」と新大統領は語った。
また、「意見の相違が全面戦争の原因になる必要はありません。私たちは、事実そのものが歪曲され、時には捏造される文化を拒絶しなければなりません。」と指摘したうえで、「同胞のアメリカ人の皆さん。私たちはこのような状態は変え、より良く行動しなくてはなりませんし、アメリカはもっとまともなはずだと、私は信じています。」と語った。
バイデン大統領は、全てのアメリカ人の大統領になると語った。そして、自分を支持した人と同じくらい支持しなかった人のためにも懸命に戦うと公約した。「これから前に進む中で、私の言い分に耳を傾け、私と私の心を見極めてください。それでも賛成できないなら、それは仕方がありません。それが民主主義であり、アメリカとはそういうものなのです。」
また、「われわれ米国民が愛するのは何だろうか。」と問いかけた大統領は、「分かっているはずです。つまり、機会、安全、自由、尊厳、敬意、名誉、そしてそう、真実です。…心を固く閉ざすのではなく魂を開けば、これらを実現できるのです。」と指摘した。
「ともに、アメリカの物語を書きましょう。恐怖ではなく希望の物語を。分断ではなく結束、暗闇ではなく光の物語を。品性と尊厳、愛と癒やし、偉大で善良な物語を。」とバイデン大統領は語った。
正副大統領と3人の元大統領(ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ)は就任式のあと議事堂の会場を離れ、アーリントン国立墓地に移動した。葬送ラッパに続いて、バイデン大統領とハリス副大統領が無名戦士の墓に献花式した。就任式には、3人の元大統領が出席したが、ジミー・カーター元大統領は出席できなかったが、バイデン大統領は96歳のカーター氏と電話で話をしたと語った。ドナルド・トランプ前大統領は就任式に出席しなかったが、マイク・ペンス前副大統領は出席した。(原文へ)
INPS Japan
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