チリがミシェル・バチェレ氏への支持を撤回したことで、礼儀正しい外交言辞の裏にある政治の現実が浮かび上がった。これに対し、モルディブがバージニア・ガンバ氏の推薦を取り下げたことは、立候補が制度上本当に終わるとはどういうことかを示した。同じ事務総長選でも、その意味はまったく異なっていた。
【国連本部(ニューヨーク)ATN=アハメド・ファティ】
チリは、ミシェル・バチェレ氏への支持を単に撤回したのではない。国連事務総長選という苛烈な力学の中で、もはや彼女が勝ち残れるとは見ていないという判断を、外交的な美辞麗句に包んで示したのである。
公式には、チリ政府は、彼女の立候補が「実現可能ではなくなった」と説明した。平たく言えば、それは、この選考過程に現実的な勝ち筋を見いだせなくなったということだ。国連事務総長選は、拍手や好意的評価で決まるのではない。最終的にものを言うのは、安全保障理事会とその拒否権である。
この決定は、3月11日にホセ・アントニオ・カスト大統領が就任した後に下された。前任のボリッチ政権がバチェレ氏擁立を後押ししていたことを踏まえれば、これはチリ国内政治の急激な右傾化を反映した動きでもあった。
チリ政府の説明は、整然として慎重で、感情を排したものだった。バチェレ氏の立候補にはもはや現実的な成功の可能性がなく、他候補への支持に回るのではなく、中立を維持するというものである。だが、その背後にある政治的事情は決して隠されてはいなかった。ロイター通信によれば、カスト大統領はすでに、バチェレ氏と、彼女の推薦を支持したガブリエル・ボリッチ前大統領の双方を批判していた。今回の撤回は、驚きというより、すでに到来していた政治的現実を正式に確認したものにすぎなかった。
さらに外交筋の関心を引いたのは、チリが「このプロセスを左右する一部の重要なアクターとの見解の相違」に言及した点である。これは何気ない表現ではない。外交的な暗号に近い言い回しである。
『エル・パイス』紙も報じているように、最も有力な解釈は、チリ政府が、最終局面で実際に影響力を行使する主要国、特に安全保障理事会の常任理事国の間で、バチェレ氏への強い抵抗があると判断した、というものだ。同紙は、彼女が国連人権高等弁務官の任期末に公表した2022年の新疆報告書をめぐる中国との摩擦に加え、中絶の権利やイスラエルを含む諸問題での立場をめぐって、米国の保守派との対立もあった可能性を指摘している。ロイター通信も別途、アナリストのリチャード・ゴーワン氏の見解として、米国内の共和党系圧力が彼女の立候補を難しくしていたと伝えた。
「ここで公式説明は終わり、ここからは国連内でささやかれる非公式の見方になる。」
その見方は、より辛辣で単純だ。チリは盤面を見渡し、行く手を阻むマスが多すぎると判断した。そして、すでに拒否権による待ち伏せが予想される局面に向けて、これ以上バチェレ氏に政治的資本を注ぎ込むことを断念した、というのである。国連の選挙では、候補者が正式に脱落するはるか前から、政治的にはすでに深手を負っていることが少なくない。今回も、まさにその一例だったように見える。
ただし、チリの支持撤回が、バチェレ氏の立候補を手続き上終わらせたわけではない。ロイター通信は3月25日、メキシコが引き続き彼女を支持すると報じ、ブラジル政府関係者も支持継続の意向を示していると伝えた。国連の選出枠組みにおいては、候補者は加盟国によって推薦される。そのため、チリが手を引いても、他の国家による推薦が残る限り、バチェレ氏はなお選挙戦にとどまる。弱体化はしたが、消えたわけではない。
これに対し、バージニア・ガンバ氏のケースはまったく異なる。しかも、その意味ははるかに決定的である。
3月26日、国連報道官は、モルディブが、アルゼンチン出身の外交官で、元国連事務総長特別代表(子どもと武力紛争担当)を務めたバージニア・ガンバ氏の推薦を撤回したと明らかにした。ガンバ氏はモルディブ単独の推薦を受けていたため、この撤回によって彼女の立候補は事実上終わったとみられる。国連の事務総長選考に関する公式ページでは、推薦と推薦撤回が正式な手続きの一部として記録されている。だからこそ、これは単なる象徴的な行為ではなかった。手続き上、立候補が終わったことを意味していたのである。
この対比は示唆的である。チリによるバチェレ氏支持の撤回は、政治的な切断ではあったが、選挙戦の終わりを意味するものではなかった。メキシコとブラジルが、なお彼女の立候補を支えているからである。これに対し、モルディブによるガンバ氏の推薦撤回は、まったく別の意味を持っていた。推薦国が一国しかなく、その国が手を引けば、立候補は終わる。同じ選挙であり、外交的には同じように丁重な言葉で語られていても、その帰結は大きく異なる。
そして、そのことこそが、この国連事務総長選の実態を端的に物語っている。表向きには、誰もが磨き上げられた言葉で語る。だが非公式の世界では、落とし戸は静かに開くのである。(原文へ)
INPS Japan
関連記事
|2026年国際女性デー|今年の国際女性デーは、次期国連事務総長に女性を選出するよう訴えている
えん)













