【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】
2008年10月15日に初めての「農村女性のための国際デー」が持たれて以来、先住民族を含めた女性や女児が、農業や地域開発を改善し、食料安全保障を強化し、貧困を根絶する上できわめて重要な役割を果たしているという点に関しては、衆目の一致するところだ。
実際、国連総会が2007年12月18日の決議62/136でこの国際デーの新設を決定した際、「各国、地域、グローバル規模のそれぞれの開発戦略において、先住民族女性も含め、農村の女性の環境を改善することに優先順位を置くよう」呼びかけている。
決議はまた、農村女性の視点を考慮に入れること、彼女らが自然災害や人道支援、平和構築、紛争後和解といった緊急事態に関連した政策や活動の設計・履行・フォローアップ・評価に参加できるようにすべきことを呼びかけている。
また決議は、エネルギーや交通といった根本的な農村インフラを利用できるようにすることを通じて、農村女性の基本的ニーズに応える取り組みに投資し、強化すべきことを強調している。
さらに、農村女性の特定の健康上のニーズに対処し、農村地域の女性の健康状態を最大限に引き上げることができるよう具体的な措置を取ることを求めている。例えば、妊娠中・出産後の性と生殖に関する健康、緊急の産科ケア、家族計画に関する情報、HIV/AIDSなどの性感染症の予防に関する知識・認識・支持の増大といったことである。
国連総会はまた、国際社会に対して、農村の女性や女児が全ての人権と基本的自由を享受することを促進・擁護し、家庭内暴力や性的暴力、ジェンダーに基づくあらゆる形態の暴力をはじめとして、彼女たちの権利の侵害を許さない環境を作り出すことを求めている。
決議が挙げているその他の措置には、次のようなものがある。▽基本的な社会サービスへのアクセス、▽適切な社会的保護/社会保障の実施、▽経済的資源への平等なアクセス、管理、▽金融、近代的取り引き、金融手続きにおける農村女性の経済的スキルを向上させるような特定の支援サービス、▽とりわけ母子家庭に対してマイクロクレジットなどの金融・ビジネスサービスを提供することで、農村女性らの経済的エンパワーメントを図ること。
決議はまた、土地と資産の私的所有が確立しているところでは、相続の権利も含めて、女性が土地や資産に対する完全かつ平等な権利を持つようにすること、信用や資本、適切な技術、市場・情報へのアクセスといった権利を女性にも男性同様に与えるための行政改革およびその他の必要な措置を実行することを求めている。
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関である「UNウィメン」は、この国連総会決議の背景にある論理について、「農村の女性は、天然資源と農業が危機にさらされるなか、闘いの最前線に立たされている。」と説明している。
たとえば、2000年から2016年の間の気象災害による被害・損失の4分の1は途上国の農業部門におけるものであり、これが農村の女性・女児の食料安全保障と生産能力に大きな悪影響を与えている。
気象災害においては女性の方が死亡する確率が高く、土地や水のような天然資源へのアクセスにより大きな困難を抱える。さらに、気候変動が既存の不平等を悪化させ、農村の女性・女児を置き去りにする可能性がある。
「結果として、気候変動の引き起こす危機に関して前進をもたらす最も効果的な方法のひとつは、ジェンダー不平等の問題に対処することだ、ということになる。」とUNウィメンは主張する。エンパワーされた(=社会的な力をつけた)女性には、気候変動に対処する高い能力がもたらされる。彼女らは低炭素技術の導入や気候変動に関する知識の普及、気候行動を促すうえで、重要な役割を果たす。
UNウィメンは、ジェンダーに敏感な気候関連政策・事業を採用し、気候関連のアクションにおける女性のリーダーシップを促進することは、地球温暖化の悪影響を減ずる主要な方法のひとつであると考えている。
UNウィメンは、その他の国連・開発関連機関と並んで、気候変動という文脈の下で農村の女性・女児を強化する必要性を認識している。「農村地帯の女性・女児の状況を改善する」ことに関する2019年の国連事務総長報告(A/74/224)は気候問題に焦点を当て、UNウィメンは、気候変動に直面した女性をエンパワーする多数のプログラムを実施している。
気候変動に強い農業を通じた女性のエンパワーメントを促進することは、持続可能な開発に関するUNウィメンの事業活動の中核となっている。UNウィメンが国連食糧農業機関(FAO)や世界食料計画(WFP)、「農村女性の経済的エンパワーメントに関するIFAD」と行う共同事業は、持続可能な生活と人権に焦点を当て、なかでも、女性の収入増加と気候変動に強い農業の促進に力を入れている。(原文へ)
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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