【ニューヨークIDN=J.ナストラニス】
国連は本日、信頼できる正確な情報を増やし、普及させることにより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にまつわる偽情報の蔓延と闘うためのイニシアチブ「Verified(検証済み)」を立ち上げた。
アントニオ・グテーレス国連事務総長はイニシアチブの発表にあたり、「嘘や不安、嫌悪を煽る人々に、仮想空間を譲り渡すことはできません。」「偽情報はオンラインやメッセージアプリや、口コミを通じて広がります。偽情報を作り出す人々は、巧妙な製作・発信手段を使っています。これに対処するためには、科学者や国連のような機関が、人々に信頼できる正確な情報を届ける必要があります。」と語った。
Verifiedは、国連グローバル・コミュニケーション局(DGC)による主導のもと「命を守るための科学」、「ローカル、グローバルな協力を推進するための連帯」、「影響を受けた人々への支援を呼びかけるための解決策」という3つのテーマで、情報を提供する。また、気候危機に対処し、貧困や不平等、飢餓の根本的原因に取り組む総合的復興支援策も促進していく。
このイニシアチブは全世界の人々に対し、信頼できるコンテンツを共有し、家族やコミュニティーの安全とつながりを守るための「情報ボランティア」としての参加を呼びかけている。デジタル世界の第一対応者に例えられる情報ボランティアは毎情報に直接反論する、あるいは情報の空白を埋めるシンプルで印象的なメッセージを付けて、ソーシャルメディアで共有できるよう最適化された検証済みコンテンツを受け取ることになる。
国連グローバル・コミュニケーション局は国連機関や国連国別チーム、インフルエンサー、市民社会、企業、報道機関とのパートナーシップにより、信頼できる正確なコンテンツを発信するとともに、ソーシャルメディア・プラットフォームとも連携し、COVID-19にまつわる有害な主張や憎悪の根絶を図っていく。
グローバル・コミュニケーションのメリッサ・フレミング担当国連事務次長は、「多くの国では、デジタル・チャンネル全体で急増している偽情報が、公衆衛生上の対応を妨げたり、社会的な混乱を引き起こしたりしている。今回の危機を利用して、移民排斥主義を広めたり、少数者集団を標的にしたりしようとする不穏な動きも見られるが、社会全体に圧迫感が強まり、経済的、社会的な影響が生じるにつれ、これがさらに悪化する恐れもあります。」と語った。
フレミング事務次長はまた、「Verifiedイニシアチブには、この傾向に対し、各地での人道的行為や、難民と移民の貢献を賞賛し、グローバル協力を呼びかける希望に満ちたコンテンツで、取り組むという意味もあります。」と語った。
今回のイニシアチブは、世界有数の社会運動組織Purposeと共同の取り組みとして進められており、IKEA財団とLuminateによって支援されている。
IKEA財団のパトリシア・アトキンソン最高プログラム責任者は、「COVID-19の世界的大流行(パンデミック)は、これまでにないグローバル・ヘルスの危機となりました。IKEA財団は、誰もが家族や大切な人の安全を守るために必要な信頼できる科学的情報と助言にアクセスできるようにすることを目指すイニシアチブとして、Verifiedを支援できることを誇りとしています。」と語った。
一方、Luminateのニシャント・ラルワニ最高責任者は、「COVID-19は、正確で信頼できる情報へのアクセスが、不安とレジリエンス、分裂と連帯、さらには生と死をも分けることを改めて痛感させました。私たちは、全世界の人々やコミュニティーを守るために科学に基づく信頼できる情報を急速に広めることにより、新型コロナウイルスによる『インフォデミック』に対処しようとするVerifiedとその活動を支援でき、誇りに思います。」と語った。(原文へ)
INPS Japan
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