ニュース国連作業部会に核兵器禁止への助力を呼びかけ

国連作業部会に核兵器禁止への助力を呼びかけ

【ジュネーブIDN=ジャムシェッド・バルーア】

核兵器廃絶を呼びかけるさまざまな宗教団体による共同声明の強力なメッセージは、バラク・オバマ大統領が5月27日に広島を訪問するとの決定に対する国連の潘基文事務総長の反応によって、強く支持されている。

オバマ氏は、1945年8月6日に米国が投下した史上初の原子爆弾で壊滅したこの日本の都市を先進7カ国首脳会議(G7)参加の機会を捉えて訪問する初の米国の現役大統領となる。広島への原爆投下の3日後には長崎を壊滅させた第2の原爆投下が続き、合計で20万人以上が犠牲となった。

Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider
Stéphane Dujarric/ UN Photo/Evan Schneider

「潘基文事務総長はオバマ大統領の広島訪問の決定を大いに歓迎しています。事務総長にとって、広島(の被爆経験から)学ぶべき普遍の教訓の一つは、核兵器は完全に廃絶しなければならないというものです。」と国連ステファンドゥジャリク報道官は語った。

「この訪問が、改めて核軍縮の必要性を訴える世界的なメッセージとなることを願っています。そしてそれは、潘事務総長が呼びかけていることでもあります。」とドゥジャリク報道官は語った。

潘事務総長に関連したこの発言は、「核兵器なき世界」への潘氏の強いコミットメントを背景としている。同時にそれは、世界から核兵器をなくすことを誓った2009年4月の歴史的なオバマ大統領のプラハ演説を想起させるものだ。オバマ大統領はこの演説の中で、オバマ政権は「核兵器のない平和で安全な世界を追求するとアメリカの約束」を果たすと宣言した。

2016年公開作業部会(OEWG)第2会期(5月2日~13日)の開幕にあたって発表された共同声明は、核兵器廃絶が道徳的・倫理的責務であることを強調している。作業部会は、多国間の核軍縮交渉を前進させることを目的に設置されたものだ。

作業部会は、核兵器のない世界の達成と維持のために必要な具体的かつ効果的な法的措置・条項・規範について実質的に協議するために、2015年12月に国連総会が採択した決議により招集されている。第一会期は2月に開かれた。

共同声明は、信仰を基盤とした団体からおよそ35の個人が賛同しており、5月3日、作業部会の議長を務めるタイのタニ・トーンパクディ大使に手交された。1945年に広島と長崎が核攻撃を受けて以来、人類は核兵器による「黙示録的な破壊の影のもとで暮らし続けることを余儀なく」されているという事実を指摘している点に、その重要性がある。

ひとたび核兵器が使用されれば、人類文明のこれまでの成果が破壊されるだけでなく、現世代は傷つき、将来の世代も悲惨な運命へと追いやられる、と共同声明は訴えている。

The Hiroshima Peace Memorial, commonly called the Atomic Bomb Dome or A-Bomb Dome is part of the Hiroshima Peace Memorial Park in Hiroshima, Japan and was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. /Tim Wright.
The Hiroshima Peace Memorial, commonly called the Atomic Bomb Dome or A-Bomb Dome is part of the Hiroshima Peace Memorial Park in Hiroshima, Japan and was designated a UNESCO World Heritage Site in 1996. /Tim Wright.

共同声明はまた、「安全と尊厳の中で人類が生きる権利、良心と正義の要請、弱き者を守る義務、未来の世代のために地球を守る責任感といった、私たちの信仰が掲げる価値観は、核兵器と相容れるものではありません。」と述べている。

共同声明は、以下3点に焦点をあて、作業部会に重要な課題として取り組むよう求めている。

1)人類に同じ経験を二度とさせてはならないと、核兵器廃絶を訴え続けている世界中のヒバクシャの声に耳を傾け心に刻み、核兵器の人道的影響が全ての核軍縮に関する努力の中心に据え置かれるべきであることを再確認する。

2)核軍縮に導く交渉を誠実に行いかつ完結させる義務を果たすよう、全ての国が国連公開作業部会ならびにその後のプロセスに参加するよう呼びかけ続ける。

3)国連総会に提出する報告書で、厳格な国際管理のもとでの、核兵器の禁止と廃絶を促進する法的枠組みを詳細に示すこと。それは、全ての国々に開かれたいかなる国も阻止できない場で、遅滞のない交渉がなされなければならない。

関係筋によると、3つの主要な宗教団体―PAX創価学会インタナショナル(SGI)世界教会協議会(WCC)―が主導して、核兵器の非人道性を憂慮する宗教コミュニティーによる共同声明を起草した。

SGIの寺崎広嗣平和運動局長は、「公開作業部会での議論が、核時代の“終焉の始まり”への具体的な道筋を開くことを期待しています。」と語った。

ICAN
ICAN

PAXのスージー・スナイダー核軍縮プログラム・マネージャーは、「全ての参加者が、道徳的で、倫理的で、人道的な観点の根幹から(議論を)始めるよう促したい。核兵器への反対は言葉よりも大きなものでなくてはならないし、核兵器を完全に禁止する新たな法的枠組みを通じて拘束力をもたせなくてはなりません。」と語った。

WCC国際問題委員会の委員長代理であるエミリー・ウェルティ博士は、WCCの立場について、「私たちは心からの信念と信仰心から、核兵器の脅威に依存した安全保障を拒絶するものです。核兵器は、私たちの資源を罪深い形で乱用するものとみなすべきです。」と語った。

この共同声明は、ワシントンDC(2014年4月)およびウィーン(2014年12月)で開催した宗教間会議と、ニューヨークで開催された「核不拡散条約(NPT)運用検討会議」(2015年4月)の際に、それぞれ発表してきた「宗教コミュニティーの共同声明」の実績を踏まえたものである。(原文へ

INPS Japan

This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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