国連SDGsメディア・コンパクトは、「報道機関とエンターテインメント企業の拡大するアライアンスが、新型コロナ感染症(COVID-19)危機の社会経済的影響を20億人超の視聴者・読者に向けて発信している。」と指摘したうえで、メディアパートナーの好例として、生態系と人の健康がいかに交差しているかを報じたIDN(In-Depth News)を挙げている。
【UN Sustainable Development Blog】
2020年5月18日、 持続可能な開発目標(SDGs)に関する報道を充実させ、その達成に向けた行動を活性化させることを目的に、報道機関とエンターテインメント企業のアライアンスとして発足した「SDGメディア・コンパクト」の参加企業が100社に達した。
大手放送局から定評ある活字メディア、通信社(IDN-InDepthNews , Flagship Agency of the International Press Syndicate Groupを含む)やラジオ局、さらには台頭著しいデジタル出版社に至るまで、幅広い企業が参加するSDGメディア・コンパクトは、5大陸の160カ国をカバーし、参加企業の100を大きく上回る媒体を通じて、合計で約20億人にコンテンツを届けている。
「科学と連帯、そして私たちに共通のロードマップであるSDGsに基づき、デマに対処するとともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機からの持続可能な復興に向けた行動に勢いをつけるうえで、メディアは重要な役割を果たします。」「私たちは、全世界からのSDGメディア・コンパクト参加企業100社が、現代の重大な課題について報道し、より健全で平和な世界に向けた前進の原動力となる決意を示していることを誇りに思います。」と、グローバル・コミュニケーション担当のメリッサ・フレミング国連事務次長は語った。
SDGsは世界のリーダーたちが2015年に採択した世界共通目標で、2030年までに貧困に終止符を打ち、地球を守り、あらゆる人の生活と将来の見通しを改善するよう、全世界に行動を呼びかけている。国連の専門家による発言やデータ、報告書、ストーリーはSDGメディア・コンパクト参加企業と定期的に共有され、各社の編集の独立に干渉することなく、SDGsに関する記事に着想を与えています。コンパクト参加企業はまた、国連の新たな「Verified(ベリファイド/検証済み)」イニシアティブの一環として、デマに対抗し、インターネットや放送電波を科学や解決策、連帯に関するコンテンツで満たすため、 信頼できる正確な素材も受け取ることになっている。
メディアとエンターテインメントの業界で欧州最大の企業Sky Groupにとって、SDGメディア・コンパクトへの参加は、地球規模の大きな課題に取り組むことを意味している。「当社が戦略をSDGsと整合させているのは、私たちの世界をより良くするために欠かせない変革を企業が推進できるよう、SDGsが明確な目的を提示しているからです。」と、Sky GroupのCEOジェレミー・ダロック氏は語った。
最近の参加企業の一つShanghai Media Groupは、共通の目標に向けて取り組む地球規模のアライアンスの一員となる目的で、コンパクトに加わった。「グローバル・メディア組織と密接に連携し、人類が共有する未来のコミュニティーを共につくっていけることを真摯に望んでいます。」と、王建軍会長は語った。
また、米国に本社を置くデジタル出版社ATTNの上級ストラテジスト、チャーリー・ゴールデンソン氏は、「国連と連携し、その専門家の声やデータを活用できることは、私たちがストーリーで語る素材や情報を豊富にし、人間の感情に訴えるストーリーが実質的なインパクトを与えることに役立っています。」と語った。
「デマやフェイクニュースが多く飛び交うデジタルの世界では、信頼性が極めて重要です。SDGメディア・コンパクトとの連携と豊富な編集向けコンテンツの共有で、私たちは大きな信頼を獲得できました。COVID-19をはじめ、時事問題に関する自由な情報の流れは、コミュニティーが新型コロナウイルスへの対策をどう改善できるかに関するストーリー作りに役立ちました。」と、カメルーンのラジオ局Ndefcamのマイケム・エマヌエラ・マンジー氏は語った。
既に多くの参加企業がデマに対処し、科学に基づくウイルス対策情報を発信するとともに、さらに幅広い持続可能な開発アジェンダとの関連で、COVID-19の社会経済的影響を伝えるために、不可欠な役割を演じている。
SBS Australiaは、コロナウイルスをめぐる陰謀論が急速に広がっている様子と、その理由について検討した。Sky Newsは、5G無線アンテナとコロナウイルスの関連性をでっち上げた陰謀論の嘘を暴いた。Noticias Positivasは、今回のパンデミックに関連するフェイクニュースの問題について報道し。ATTN は、若者がCOVID-19関連コンテンツの事実と作り話を見分けられるよう、デジタル・リテラシー特集を立ち上げた。そして朝日新聞は、世界保健機関を悪者にしても、世界がウイルスを封じ込めるための役には立たない理由を説明した。
社会経済分野では、Euronewsがアントニオ・グテーレス国連事務総長とのインタビューで、世界がこの危機からさらに強くなって立ち直るためには、グローバルな連帯が必要であることを訴えた。CGTNは、最貧国の債務救済を求める動画を多く発表した。日本経済新聞は、COVID-19対策に不可欠な要素として、メンタルヘルスのサービスの必要性に関する記事を掲載した。そしてPrensa Latinaは、子どもの福祉を守るよう訴える事務総長の要請を広く伝えている。
環境問題に関し、Jakarta Postは、パンデミック(世界的大流行)からの環境に優しい復興(グリーン・リカバリー)を求める事務総長の声を大きく伝え、SBSは、COVID-19が私たちの経済を「緑化」する可能性について報じ、In Depth Newsは、生態系と人間の健康がどのように絡み合っているのかを説明したほか、Scientific Americanは、コロナ危機のCO2排出量に対する影響と、そのグリーン・リカバリーに対する意味合いについて報じている。
ジェンダーの側面について、毎日新聞は、女性と女児に対するパンデミックの影響に取り組むよう求める国連事務総長の声を、大きく伝えた。DevexはUNウィメンとのインタビューで、危機が女性の仕事、健康、暮らしに与える不当に大きな影響を明らかにした。そしてSkyは、COVID-19対応計画で女性に対する暴力の予防と救済を優先するよう各国政府に強く訴える国連事務総長のメッセージを放映した。
SDGメディア・コンパクトについて
2018年9月、国連事務総長が31社の創設メンバーとともに立ち上げた「SDGメディア・コンパクト」は、世界中の報道機関とエンターテインメント企業に対し、その資源と創造的才能をSDGs達成のために活用するよう促すことを目的としている。現時点でアフリカ、アジア、米州、オーストラリア、欧州、中東から100社がSDGメディア・コンパクトに加わっている。事実やヒューマンストーリー、解決策を発信することにより、同コンパクトはSDGsに関するアドボカシーと行動、説明責任の強力な原動力となっている。(原文へ)
INPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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