SDGsGoal1(貧困をなくそう)混迷の度が深まるアフリカ東部・「アフリカの角」地域

混迷の度が深まるアフリカ東部・「アフリカの角」地域

【ニューヨークIDN/GIN=リサ・ヴィヴェス】

米国が、10年以上にわたるソマリア内戦を軍事的に解決しようと乗り出す一方で、スーダンと南スーダンは混迷の度を深めている。米アフリカ軍司令部によると、ソマリア中部のヒラーン州で、最近米軍が国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派組織「アル・シャバブ」に空爆を加え、35人の戦闘員を殺害している。

こうした空爆作戦には、武装した無人機(攻撃型ドローン)が投入されている。地元のオンラインメディア「ハルガン・メディア」によると、米軍によるドローン攻撃は、今月になって12回目となる。米国防総省は近年、ドナルド・トランプ大統領がテロ容疑者に対する米軍の行動の制限を緩和させたことなどから、ソマリアでの空爆の割合を拡大している。

An MQ-9 Reaper unmanned aerial vehicle flies a combat mission over southern Afghanistan/ By Lt. Col. Leslie Pratt - commons file, Public Domain
An MQ-9 Reaper unmanned aerial vehicle flies a combat mission over southern Afghanistan/ By Lt. Col. Leslie Pratt – commons file, Public Domain

まだ武装ドローンは使用されていないものの、スーダンではオマル・アル・バシール大統領が一連の非常事態宣言を発して、各地に広がる民衆の抗議活動を抑え込もうとしている。バシール大統領は、これまでの30年に亘る統治の中で、最も長い反政府抗議活動に直面している。

首都ハルツームでは、機動隊が催涙弾やスタングレネードを群衆に向かって発砲したが、数千人の群衆が街路を埋め尽くした。デモに参加しているエリジさん(本人の安全確保のため偽名)はアルジャジーラの取材に対して、「私たちは政権交代を成し遂げようとしています。非常事態宣言など怖くはありません。」「私たちの要求はただ一つ、大統領の退陣です。」と、語った。

機動隊は、学生たちが座り込みのデモを始めたアハファド女子大学の構内へも、催涙ガス弾を打ち込んだ。

スーダン当局は、これまでに抗議行動に関連した暴力沙汰で31人が死亡したとしているが、人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、犠牲者の数は51人にのぼると発表している。

一方、アフリカで最も若い南スーダンでは、政府と反政府勢力との間で4年に亘った内戦の末に昨年ようやく停戦合意がなされたが、国土は荒廃し、想像を絶する規模(シリア、アフガニスタンに次ぐ世界3番目)の難民危機が生じている。南スーダンに関する国連の報告書には、ありとあらゆる人権侵害の事例が報告されており、英国のガーディアン紙は、「200頁以上に及ぶこの報告書の内容は、読者を最も陰鬱な気持ちにするもの」と報じている。

Map of South Sudan/ Wikimedia Commons

南スーダン人権委員会のヤスミン・ソーカ委員長は、今回3回目となる報告書をナイロビで公表し、「戦闘員が村々を襲撃する際、家々を略奪し、女性を性奴隷として略奪したうえで、しばしば住民を中に閉じ込めたまま家屋に放火するという行動パターンが確認されています。」と語った。

「南スーダンでは、殺人のほか、住民の強姦、輪姦、性器切除、誘拐、性奴隷化が横行しています。これまで不処罰がまかり通ってきたため、あらゆる規範が崩壊し、このような犯罪が蔓延したことは、疑いの余地がありません。」

南スーダンの独立闘争時代の説明責任の欠如が、今日に続く内戦を助長してきたが、報告書は、持続可能な平和を実現するには、犯罪行為に対して具体的かつ信頼に値する説明責任と公正な裁きが確保されなければならない、と強調している。

「政府が著しい人権侵害や深刻な国際人道法違反を犯した者等の責任を問おうと努力している点は認めます。」「しかし、不処罰の風潮が依然として常態化している事実を指摘せざるを得ません。」と同委員会のアンドリュー・クラパム委員は語った。

国連人権委員会が2016年に設立した南スーダン人権委員会は、政府、地域、国際社会に対して、5か月前に復活させた新たな停戦合意の履行と「戦闘行為の完全停止」を実現すべく、「緊急の対策」を講じるよう強く要請している。

SDGs Goal No. 16
SDGs Goal No. 16

南スーダンは世界で最も若い国の1つだが、7年前の独立から大半の期間を政情不安と紛争に見舞われてきた。

2018年9月、南スーダンのサルバ・キール大統領と長年の政敵で反政府勢力を率いるリヤク・マシャール氏は、エチオピアの首都アディスアベバで新たな和平協定に調印した。この合意は、最終的に危機を克服し、内戦によって住処を奪われ貧窮している数百万の人々に、安全でより良い環境を提供するとの高い期待が寄せられている。

南スーダン人権委員会が発表した今回の国連報告書は、戦争犯罪者の追訴へと至るプロセスの第一歩を踏み出したものとなっている。同人権委員会は、引き続き犯罪の責任者を訴追するための証拠収集を継続していくと発表している。(原文へ

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