ニュース|米国|「腐ったリンゴ」は木の近くに落ちた

|米国|「腐ったリンゴ」は木の近くに落ちた

【ニューヨークIPS=ウィリアム・フィッシャー】

「対テロ戦争」拘束者に対する厳しい尋問を採用したのはブッシュ政権の高官であるとする超党派の議会報告を受け、アムネスティ・インターナショナルは独立の調査委員会設立を求める要望書を提出した。 

上院軍事委員会が先週発表した報告書は、グアンタナモおよびアブグレイブにおける厳しい尋問の責任は、拷問ともいえる過激なテクニックに関する情報の提供を要請し、その正当性を裏付けるため法を修正し、実施を許可したブッシュ政権の高官にあると結論した。ラムズフェルド前国防長官は、それらの行為は一部の「腐ったリンゴ」によるものと主張していたが、上院報告は、拘束者に対する虐待あるいは拷問の第1責任者はラムズフェルド氏であるとした。

同報告書によれば、ライス国務長官は9月に、2002年からテロ容疑者に対する水責め(ウォーター・ボーディングと呼ばれる)実施について話し合う高官会議を2002年から開始した旨初めて明かしたという。実際、ブッシュ大統領は昨年4月、ABCの記者に対し2007年2月7日に国家安全保障会議閣僚級委員会を招集し、CIAが拘束者に対し使用可能な具体的尋問テクニックについて討議したと語っている。同委員会のメンバーにはチェイニー副大統領、ライス国家安全保障担当補佐官、テネット元CIA長官、アシュクロフト元司法長官などが含まれていた。 

報告書発表の直後、アムネスティ・インターナショナルは詳細なグアンタナモ収容所閉鎖プランを提出するとともに、9/11委員会と同様の独立委員会を設立し囚人虐待に関する完全調査を行うよう提案した。アムネスティUSAのラリー・コックス事務局長は、「オバマ次期大統領が約束したグアンタナモ閉鎖は第1歩にすぎない。国家安全保障に名を借りた虐待が繰り返されることのないよう、ブッシュ政権の政策を白日の元にさらけ出す必要がある」と語っている。 

アムネスティは、(1)政権準備期間中に委員会設立の具体的方法や司法長官室付きとするか独立の調査官を指名するかなどの検討を行い、就任から100日以内に作業を完了させること、(2)調査にはCIAおよび他の機関の行動、拘束者の第3国移送などを含むこと、(3)機密書類へのアクセス確保、証人喚問、犯罪調査としての位置づけなどを要求している。また、次期大統領に対し政権発足から18か月以内に進展状況の報告をすること、2010年までに最終報告書を提出することを要求した。 

ロバート・ゲーツ現国防長官(次期政権でも留任)もペンタゴンに対してグアンタナモ閉鎖計画作成に着手するよう命じたとされるが、この他にも、ヒューマン・ライツ・ファースト(HRF)は数か月前にグアンタナモ閉鎖計画を準備。アメリカ自由人権協会(ACLU)、ヒューマンライツ・ウォッチも以前からグアンタナモ閉鎖を主張している。 

アムネスティ・インターナショナルが次期政権に提出したグアンタナモ閉鎖計画およびテロ容疑者虐待の真相究明計画について報告する。 (原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

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