【メキシコシティIPS=ディエゴ・セバージョス】
米国が移民政策を年々厳格化しており、内外からの批判が高まっている。
現在米国には4000万人のラテン系人口がいるが、そのうち800万人が不法滞在だと見られている。また、2005年には、40万人以上の移民がビザを持たずに米国に入国し、約100万人が入国を試みて失敗し強制送還されたと推測されている。
特に入国が多いのは、メキシコ-米国国境間であるが、12月15日現在、国境越えを試みたメキシコ人のうち324名が亡くなっている。1993年からの累計は約3800名にもなる。彼らの多くは、川を泳いで渡ろうとしたり、猛暑の中砂漠を渡ろうとしたり、密閉されたトラックや電車の荷台の中に入って国境を越えようとしたりして死に到るのである。
米国は、これら移民の入国を厳しく取り締まろうとしている。2005年5月には、「本人身元確認法(the Real ID Act)」が制定され、ビザなし移民に運転免許証を発行することを禁止し、メキシコ国境沿いに112キロにわたる金属・コンクリート壁を建設する予算を認めた。
2004年12月には、アリゾナ州議会で「提案200」が可決され、ビザなし移民に対する保健・教育サービスの利用制限を取り決めた。
また、2006年の前半には、3200キロのメキシコ国境沿いのうち1100キロに移民取締のためのハイテク壁を建設し、ビザなし入国を連邦犯罪とする法律を制定することが目指されている。連邦下院はすでにこの法案を承認し、あとは上院の可決を待つばかりである。
こうした米国の動きに対して、メキシコ・グアテマラ・ベネズエラ等が反発し、これをアムネスティ・インターナショナル(AI)やヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)などの人権NGOが支援するという構図になっている。
2006年の米国の移民政策の見通しについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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