【ワシントンIPS=ジム・ローブ】
バラク・オバマ米大統領は、前大統領ジョージ・W・ブッシュの「対テロ世界戦争」において自ら「中心的な戦線」と呼んだアフガニスタンに、さらなる軍事力を投入しようとしている。だが、米国の全体的な戦略について、合意はいまだ得られていない。
米国が支援する部隊がタリバンを国外へ追い出してから7年余り、ワシントンの戦争目的そのものすら議論が続いている。事態が悪化していることはほぼすべての専門家と当局者が認めるところであり、そのなかで国防総省は、繁栄する民主主義を根づかせるというブッシュ政権の期待を、はるかに控えめな目標へと引き下げつつある。
それは先週、ゲーツ国防長官が議会で述べた言葉に明確に表れた。「アフガニスタンで自らに課す目標の性質については、極めて慎重であるべきだ」と長官は上院軍事委員会で語り、こう続けた。「もし中央アジアにヴァルハラのようなものを作り出すことを目標に据えるなら、我々は敗北する。そのような時間も忍耐も資金も、世界の誰も持ち合わせていないからだ」
ゲーツ長官は、最小限の目標を達成するだけでも「長く骨の折れる道のり」になると強調した。その一方で、すでに過重な負担を抱える米軍が勝ち目のない戦争の泥沼に足を取られるのではないか――アフガニスタンが「新たなベトナム」になるのではないかという懸念が、マスメディアで急速に広がっている。
実際、週刊誌『ニューズウィーク』最新号の表紙特集の見出しは「オバマのベトナム――類比は正確ではない。だがアフガニスタン戦争は、不穏なほど見覚えのあるものになりつつある」であった。
国防総省高官の現状認識は厳しい。月曜に公表された同省の報告書は、昨年の春から夏にかけて2001年の米軍介入以来「最も高い水準の暴力」が記録されたとし、昨年1年間の米兵の死者は132人で、2007年の82人から増加したと指摘した。
「アフガニスタンの最近の出来事を追ってこられた皆さんなら、現地の情勢が日に日に危険を増していることはご承知でしょう」。マイケル・マレン統合参謀本部議長は先週、外国人記者向けの特別ブリーフィングの冒頭でこう述べた。
「自爆攻撃とIED(即席爆発装置)による攻撃は増加しており、この1年で4割増という見方もあります」と議長は続けた。「タリバンはより大胆になり、アフガニスタンの人々に恐怖を植えつけ、威圧している。パキスタン国境を越える武装勢力の流入も止まっていません」
米軍は現在、約3万3000人をアフガニスタンに展開している。これに他のNATO加盟国の約3万人が加わるが、タリバンとその同盟勢力が最も強い東部・南部のパシュトゥン人地域での戦闘に全面的に投入できるのは、英国、カナダ、オランダの部隊に限られる。
デービッド・マキァナン米陸軍大将をはじめとする現地の指揮官たちは、今後6〜9カ月で米軍3万人の増派を要請しており、マレン議長も先週の記者会見でこの数字に言及した。
ゲーツ長官はより慎重な姿勢をとっている。先週、上院議員たちに対し、今後半年で派遣されるのは1万〜1万2000人、すなわちオバマ氏が選挙戦中に必要だと述べた2〜3個旅団程度になるとの見通しを示した。同時に、それ以上の増派には「深く懐疑的」だとし、アフガニスタン軍(現在約10万人)と警察がより大きな役割を担うことを米国は期待していると述べた。
新政権はまた、ブッシュ政権が繰り返し支援を求めてきた他のNATO加盟国が、戦闘とアフガニスタン部隊の訓練加速の両面で、より多くの兵力を提供することにも期待をかけている。
オバマ氏は来週、ジョー・バイデン副大統領、ジェームズ・ジョーンズ国家安全保障担当大統領補佐官、そしてアフガニスタン・パキスタン担当特別代表のリチャード・ホルブルック元大使を擁する有力な代表団をミュンヘンに派遣する。これは一連の国際会議の第一弾であり、4月にストラスブールで開かれるNATO創設60周年首脳会議で新たな協力の約束を取りつけることを目指している。
だが、オバマ氏の当選が海外で生んだ好意にもかかわらず、カナダと欧州の世論は最近の調査によれば新たな派兵に強く反対しており、ワシントンは期待外れの反応に直面する可能性が高いと専門家は警告する。
一方ホルブルック氏は、米中央軍のデービッド・ペトレイアス司令官、およびアフガニスタンで2度の任務経験を持つカール・アイケンベリー退役大将(駐カブール大使に指名)とともに、米国の戦略の包括的な見直しに加わる。この作業が完了するのは4月以降になる見通しだ。
見直しは、アフガニスタンにおける米国の短期・長期の目標を定義し、それを達成するための戦略を練り上げることを目的としている。
政策立案者と専門家がほぼ一致して同意している目標は一つ、先週の公聴会でゲーツ長官が述べたものである。「アフガニスタンが、米国とその同盟国を攻撃するテロリストや過激派の拠点として使われることを防ぐ」
だが、この最小限の目標ですらどう達成するのかは、資源の明白な制約と、タリバンがパキスタンの辺境地域で依然として享受している安全な拠点とを考えれば、大きな議論の的であり続けている。
現在有力な見方は、とりわけタリバンが最も強いパシュトゥン人地域で民間人の安全を高めることが不可欠だ、というものである。イラクで米軍3万人の「増派」が達成したとされることと同じ発想だ。それが成功すればタリバンは民衆の支持の多くを失い、「和解可能な」指導者たちは政府との交渉に応じ、暴力の水準は下がるはずだという。
加えて、カルザイ大統領の政権下で蔓延した汚職への対処を大統領に迫ること、また辺境地域の自国産タリバンとそこを拠点とするアルカイダ指導部に対し、パキスタン軍が実効性のある対反乱作戦を展開するよう、訓練の大幅な強化などを通じて説得する努力を新たにすることも、不可欠だとされている。
だが批判的な見方も増えている。批判者たちはイラクとアフガニスタンの比較そのものを疑問視する。仮に3万人を増派しても、外国部隊と現地部隊を合わせた兵員と人口の比率はイラクを大きく下回り、通常の対反乱作戦の原則が求める水準にははるかに及ばない、という指摘である。
部隊をどう配置するかについても、軍の内部にすら意見の対立がある。補給路と浸透路を遮断するために険しいパキスタン国境の近くに置くのか、それともイラクの「増派」がそうしたとされるように、都市や町や村で住民に「安全」を提供するのか。
カーネギー国際平和財団が火曜に公表した新たな報告書で、南アジアを専門とするフランスの研究者ジル・ドロンソロ氏は、増派はむしろ逆効果だと論じた。パシュトゥン人地域に外国の兵士が存在すること自体がタリバンの復活を後押ししてきたのであり、タリバンを弱体化させる最善の方法は軍事的な衝突を減らすことだという。その意味で「反乱の勢いを止める唯一の有効な方法は、部隊の撤退を始めることだ」と同氏は述べる。
実際ドロンソロ氏は、他の批判者と同様に、アフガニスタンの領土が米国への攻撃拠点として使われないようにする最も効果的な方法は、タリバンをアルカイダから「切り離す」ことだと主張する。アルカイダは「主にパキスタンを拠点としている」からである。
「アフガニスタン人と戦わずに済むなら、我々はアルカイダと戦ううえではるかに有利な立場に立てる」と同氏は語った。「タリバンとの戦いはやめるべきだ。相手を間違えている」(原文へ)
翻訳=IPS Japan浅霧勝浩













