【メキシコシティーIPS=ディエゴ・セバジョス】
「メキシコ政府は米国政府が導入した新たな移民規制政策に関して、正式かつ厳重な抗議を行う予定である」と、ヴィセンテ・フォックス・メキシコ大統領は木曜日(5月12日)、発表した(過去における同様の抗議は米国政府に黙殺されてきた経緯はあるが)。
ブッシュ政権が5月11日に施行した通称「Real ID Acts」は、事実上、米国に在住する不法移民約800万人にとって唯一の身分証明証としての役割を果たしていた運転免許証発行を拒否するもので、約500万人が米国に不法滞在しているメキシコにとっては大きなダメージとなる(在米メキシコ人の2004年の本国送合計は170億ドルでメキシコ国内の160万人がその送金に依存している)。
また、米政府は外国人の米国への亡命手続きを厳格にした他、メキシコとの国境に沿って建設してきたメキシコ不法移民の米国への侵入を妨げるフェンスの延長を決定した。米国の農家を中心に低賃金労働需要が高まっている(米農業セクターの労働人口に占める不法移民の占める割合は1994年には38%であったが、2003年には60%に上昇している)にも関わらず、外国人テロへの警戒感から不法移民の締出しを図る米国の現状と、それに伴って燻っているメキシコとの軋轢について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩