【ワシントンIPS=ガレス・ポーター】
米・NATO軍の撤退と引き換えにアフガニスタンからアルカイダを追放するための交渉がアフガニスタン、サウジアラビア、パキスタン担当官とタリバン・リーダーの間で行われる可能性が浮上した。新政権のこの戦略は先週、CENTROM(米国中央司令部)のペトレイアス司令官およびアフガニスタン/パキスタン担当特使のホルブルック元大使による議会説明の後に報道されたもの。
ペトレイアス大将は以前から、カブール政府支持を受け入れる兵士に対し金銭および職を与えることで、アフガニスタン反乱軍を分離する戦略を強く支持していた。
バイデン副大統領は、先週ブリュッセルで行ったスピーチの中で新政府が更に練り上げている同構想について言及。アルカイダあるいはそれに近いタリバン兵士は全体の約5パーセントで、反乱兵士の少なくとも70パーセントは収入を目的に戦闘に参加していることから懐柔が可能と語った。
しかし、多くの専門家はこの極めて楽観的な見方を支持していない。ニューヨーク・タイムズのカーロッタ・ガル記者は、3月11日の記事の中で、「西側外交官と既にタリバンと接触しているアフガニスタン担当官は、タリバン・グループから一部の司令官あるいはグループを切り離そうとする試みは成功しないだろうと語った」と述べている。反乱軍側が、降伏とアフガン政府の受け入れ、そして彼らが信用していない外国軍の駐留を認めよとの要求を受け入れることはないだろうというのが、その理由だ。
また、マックラチー紙のジョナサン・ランデー記者がカブールから伝えたところによると、反乱軍リーダーは勝利を確信していること、カルザイ政権が益々弱体化していることから、分離政策の成功は極めて疑わしいという。
分離政策は昨年12月、ニューヨーク大学のバーネット・ルービン、パキスタン人ジャーナリスト、アーメド・ラシドの両氏により提案され、サウジアラビアが調停に乗り出したとの報道で俄かに現実性を帯びた。
以前はアルカイダの壊滅に消極的であったサウジアラビアも、2003年以来国内の対アルカイダ政策で成功を納めており、宗教面でもまた唯一のタリバン承認国でもあることからタリバン指導者の信頼を得ている。
2007年10月、ヘルマンド州のタリバン指揮官がカルザイ政府に対し南部10州の支配権、外国軍撤退のスケジュール、タリバン捕虜の全員釈放などを求める要求書を提出したとの報道もあり、ルービン/ラシド両氏がフォーリン・アフェアーズ誌で指摘したように、タリバンとの取り決めでは米/NATO軍撤退の日取りを明確にすることが不可欠となろう。
オバマ政権のアフガン新戦略について報告する。 (原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan