【ニューヨークIPS=アーリ-ン・チャン】
ローマ法王ベネディクト16世の訪米は、カトリック教徒の信仰心を新たに鼓舞するものとなるだろうが、その一方で米国の進歩的な教会組織は、ローマ法王庁が女性聖職者、避妊、同性愛に関する厳格な立場を考え直すべき時期だとしている。
18日に国連総会で講演を行った法王は「人権の推進が不平等を無くし安全を高めるためにもっとも効果的だ」と強調した。だが、より寛容な教会を求める組織は、法王庁こそ人権を重視すべきだと考えている。ニューウェイズ・ミニストリーのF.デベルナルド事務局長は「同性愛者をカトリック教会から追放することは明らかな人権侵害だ」と語った。
現法王は同性愛者に対し厳しい発言をしたことが知られており、「法王は自分とは異なる人々の声に耳を傾けるべき」とF.デベルナルド代表はいう。
さらに法王がワシントンで行ったミサで聖体拝領から女性が排除されたことに対し、女性聖職者を求める人々は不快感を表明した。女性聖職者の1人は、「教会は女性に親身ではなく、避妊や生殖の選択に反対することも人権侵害につながっている」という。
カトリック教会と社会における平等と公平を求めて活動している「コール・トゥー・アクション」のN.ソテロ氏は、法王庁に教会での児童虐待という人権侵害に注目してもらいたいと思っている。「5年前に小児愛の聖職者を教会がかばった事件の後の法王の対応は不十分であり、子どもたちは危険にさらされている」と同氏はいう。
進歩的なカトリック組織の感情は「自由選択のカトリック教徒」のジョン・オブライエン代表の言葉に要約される。「教会の聖職者と一般の人々の間には大きな隔たりがある。法王庁は米国の多様性を認識する必要がある」
宗教は人々の生活に密着したものであり、法王は人々の声に耳を傾けてほしいと進歩派は願っている。ローマ法王の訪米について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
関連記事:
│キューバ│ローマ法王訪問に向けた環境づくり進む