ニュース視点・論点武力による安全保障か人間の安全保障か(シルヴィア・ボレン)

武力による安全保障か人間の安全保障か(シルヴィア・ボレン)

【IPSコラム=シルヴィア・ボレン】

今日の世界は時限爆弾のようなものだ。しかし、それを解除する十分な時間はない。私たちは、武力による安全保障か人間の安全保障かという生存上の選択に直面している。

武力による安全保障とは、世界のエリートが、貧困のうちに生きている世界の大多数の人びとから自らの特権を守るために、銃や門、壁を使うことを意味する。

3つの数字が、私たちの向かっている先を明確に示している。すなわち、援助のためにかける費用が年間500億ドル、農業補助金が年間3500億ドル、兵器にかける費用が年間9000億ドル以上という現実である。

農業補助金の3%、あるいは兵器費用の1%でもあれば、学校に行ったことのない子供1.1億人と、稼がなければならないという理由で学校に行けない子供2.5億人に教育を受けさせることができる。

 
私の属するオランダの開発団体ノビブはオックスファム・グループの一部であるが、オックスファムは次の5つの権利を提唱している。

・持続可能な生命への権利
・基本的社会サービス(教育・医療)への権利
・(紛争と自然災害に対する)安全保障の権利
・社会的・政治的参加への権利
・アイデンティティへの権利

この目的のために、地域における民主主義の深化、人びとに力を与える中央政府のしくみ、グローバル規模での公正・一貫性・安定の3つが必要である。

民主主義の深化とは数年ごとの選挙だけを意味しない。自らの命の問題を自らコントロールする民衆による相互協力は、たとえばエイズやアフリカの紛争の問題においてすら、効果を発揮するのである。

翻訳/サンプルサマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

*シルヴィア・ボレン氏は、「ノビブ/オックスファム・オランダ」の代表。

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