ニュース|中東|「米国はガザにおける戦争犯罪究明を求めるゴールドストン報告書を支持しなければならない」とUAE紙

|中東|「米国はガザにおける戦争犯罪究明を求めるゴールドストン報告書を支持しなければならない」とUAE紙

【アブダビWAM】

「米国では様々な変革が試みられても常に変わらないものがあるようだ。バラク・オバマ大統領は、イスラエルとの関係に配慮しつつ、ブッシュ前政権の下で悪化したアラブ諸国及びイスラム世界との関係修復に全力を尽くしているようだが、米国の既成組織は総体として圧倒的にイスラエル支持に偏っているのが現実だ。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が報じた。 

ドバイに本部を置く英字日刊紙『カリージ・タイムス(Khaleej Times)』紙は、「米国よ、正義のために立ち上がれ」と題した11月5日付の論説の中で、「米国の議員、メディア、政府高官は、イスラエルに対して盲目的かつ絶対的な支持の立場をとるあまり、国際的に認められている国家間交渉の条件や常識に照らして自らが正しい側にいるかどうか顧みようともしない。」

 カリージ・タイムス紙は、米国下院議会におけるゴールドストン報告についての採決について言及し、「下院議会は、国連人権理事会の委任に基づくガザとイスラエル南部での紛争で起きた国際法違反についての事実調査団の報告書(団長:リチャード・ゴールドストン判事)を『救いがたいほどイスラエルに対して不利な一方的かつ偏った内容』と断じ、344票対36票の圧倒的多数で否決した。下院議会はまた、オバマ大統領に対して同報告書を却下し、国連における議論となった際には反対票に回るよう求めた。しかし総体的に考えれば、リチャード・ゴールドストン氏は生まれはユダヤ系で、南アフリカの元判事である。そして自らをジオニストと呼んでいた記録もある。また、同判事は、反アパルトヘイト活動及び国連の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷における活躍が広く知られている。従って、イスラエル政府がどのように解釈しようと、ゴールドストン判事は特定のイデオロギーを持って調査団に参加した人物でないことは明らかだ。しかも同氏には4名の独立オブザーバーが調査に同行している。」 

「従って、この調査報告書を作成したのはパレスチナ人やアラブ人が団長を務めた一方的な調査団という訳ではなかった。ゴールドストン判事は報告書の中で、イスラエル、ハマス両者を批判することで、あえてバランスを確保しようとした。しかしこれは明らかに一方的な戦争であり、この点は、双方の犠牲者数を見れば明らかだ。」と同紙は報じた。 

「イスラエル軍のガザ侵攻で1400名を超えるパレスチナ人婦女子が殺害された。一方、パレスチナ側による手製ロケット弾で4名のイスラエル人民間人が殺害されている。もしこれを一方的な争いと呼べないならば、どのような紛争がそれに相当するのだろうか?従って、本紛争の事実調査報告を却下した米国下院議会の決定は不当かつ不幸な出来事と言わざるを得ない。『自由の国』として長年に亘って人権、正義、自由を擁護してきたはずの米国が、いかにして全く無防備なガザ市民に対してイスラエル軍が行った軍事行動を支持できるのだろうか?しかもこの決定は、国際社会の圧倒的世論の批判がイスラエルの戦争犯罪に向けられ、国連の委員会がイスラエルの行動を『人道に対する罪』と呼んだ中での出来事だった。国際社会は、パレスチナ人に対して行われた戦争犯罪の責任者に対する行動を求めている。」と同紙は報じた。 

「もし米国が自ら主張してきた大義を信じるならば、ゴールドストン判事の調査報告書を支持するのみならず、(同報告書が勧告している)22日間に亘ってガザ市民に対して行われた恐怖の軍事作戦の責任者達の責任追及に行動をおこすよう働きかけるべきだ。これは米国が、イスラエルかパレスチナ支持かではなく、自らが正しい側に立っていることを国際社会に示すためにも、最低限行動に移すことができることである。」と同紙は締めくくった。 

翻訳=IPS Japan戸田千鶴 

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