ニュース新設「平和委員会」と国連の将来をめぐり世界首脳に亀裂

新設「平和委員会」と国連の将来をめぐり世界首脳に亀裂

【ダボスATN=ATNチーム】

ドナルド・トランプ米大統領は木曜日、スイス・ダボスで開かれている世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、新組織「平和委員会(Board of Peace)」の発足を正式に発表した。新組織は、ガザを皮切りに停戦と紛争解決を促す国際的な枠組みとして位置づけられる。ただ、式典と周辺の外交的演出は、国連の役割をめぐる根強い緊張を浮き彫りにし、複数の主要国が非公開で抱く不安も明らかにした。

トランプ氏はダボス会議センターで厳重に管理されたイベントを開催し、支持国の外相や高官に囲まれて設立憲章に署名した。壇上で同氏は、この構想を「既存の仕組みが機能しなかった現場に、安定と実務的な解決策をもたらす真剣な取り組み」と説明し、「可能な限り国連や他の機関とも連携する」と強調した。

一方、国連は引き続きガザの人道支援の調整を担い、安全保障理事会や事務総長特使を通じた外交努力も主導している。ダボスに出席した複数の外交官は非公式に、平和委員会は補完的と位置づけられているものの、すでに複雑化した紛争環境において権限の境界を曖昧にしかねないと語った。

カメラのない非公開会合では、複数の国連加盟国の外交官が、委員会の活動が国連の権限とどのように関係づけられるのか、具体的な説明を求めていると述べた。停戦監視、人道支援の調整、復興に向けた調整など、国連の任務との整理が焦点だ。匿名を条件に取材に応じた欧州の高官は、懸念の対象は「平和という目的」ではなく、それを取り巻く「制度設計」だと語った。

「国連憲章の下に、国際的に承認された制度がすでにある」と同氏は述べた。「並行する仕組みが立ち上がれば、責任分担が明確でない限り、実務上の混乱を招きかねない」。

署名式典に主要国の姿がなかった点も目立った。中東、アフリカ、小規模な欧州諸国の代表団は参加した一方、フランス、英国、ドイツ、中国は憲章に署名しなかった。ロシアは「提案を精査中」としている。

ダボスにいた国連関係者は、直接的な批判を避けつつ、国連の中心的役割を強調した。国連高官は記者団に対し、国連は国際法の下で平和維持、紛争仲介、強制措置を担ううえで「普遍的な正当性」を持つ唯一の機関だと述べ、いかなる取り組みとも協力するかどうかは、既存の権限(マンデート)を尊重するかにかかっていると付け加えた。

ただ舞台裏では、より率直な声も出た。複数の小国の外交官は、参加に圧力を感じたと認めた。

「私たちは平和の取り組みに反対しているわけではない」と、会場近くのホテルでアフリカの当局者は述べた。「しかし、米大統領からの個人的な招待を断ることには政治的コストが伴う。」

アラブ諸国の高官も同様の認識を示し、参加は委員会の制度設計を全面的に支持するというより、戦略的判断として受け止められていると述べた。「ワシントンが新しいテーブルを作るとき、その場にいないわけにはいかない。」と同氏は語った。

湾岸諸国の代表団は、イベントに伴う対応が特に組織的だった。署名直後には、補佐官らが会合や写真撮影の調整を次々と進めた。署名後も名刺交換を続け、作業部会の可能性について協議する外交官がいた一方、早々に会場を後にする者もいた。

ロシア代表団は目立たない行動に終始した。複数地域の相手国とサイド会合を行う姿は見られたものの、ロシアが参加するかどうかについて公の場での発言は避けた。協議内容を知る外交官の一人は、ロシアがこの委員会がウクライナや中東をめぐる継続中の外交に与える影響を慎重に見極めていると述べた。

中国代表団は式典自体を回避した。中国側はその後、別のパネルで「国連を中核とする多国間主義」の重要性を強調したが、これは意図的なシグナルだと広く受け止められた。

プレスセンターでも、委員会発足は記者や外交官の間で非公式な議論の中心となった。国連関係者の中には、委員会の将来の実効性は式典の演出ではなく、運用面での信頼性を築けるかどうかにかかっていると指摘する声もあった。

「ダボスでは毎年、多くの構想が発表される」と、安全保障理事会メンバー国の外交官は語った。「重要なのは、これが国連と連携して機能する実務組織になるのか、それとも競合する別の枠組みになるのかという点だ。」

現時点で、平和委員会は、正統性、調整、権限範囲をめぐる未解決の課題を抱えたまま、政治色の濃い注目度の高い構想として国際社会に加わった。国連関係者は、各国政府が新組織への関与の是非や方法を検討する中で、今後数週間にさらなる協議が行われるとの見通しを示している。(原文へ

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