【東京IDN=石田尊昭】
7月14日に東京都知事選が告示され、各候補者が街頭で第一声を上げました。
都知事といえば、今から100年以上前、第二代東京市長(当時は「都」ではなく「市」)を務めた尾崎行雄が思い起こされます。
尾崎行雄は1903年から1912年まで東京市長を務めました。当時は、国会議員との兼職が可能で、尾崎は衆議院に議席を持ったまま市政運営に取り組みました。
この間の尾崎は、国会議員ではあったものの、ほとんど国政の場では活躍せず、新聞に「尾崎は死んだのか?」と皮肉を書かれることもありました。
尾崎は、東京市長としての丸9年間、国政における政党のしがらみや対立を市政に持ち込むことはせず、国政上の課題とは距離を置き、徹底して東京市の課題(東京市民の生活)と向き合いました。
外債を募集して市区改正を完成させるとともに、上下水道整備、道路改良・街路樹植栽など、市民の生活に直結するインフラ整備を次々と進めました。特に、数十年先を見据え、東京市の水源林を確保したことは、その後の市の発展と市民の生活向上に大いに役立ちました。
また、国政とは距離を置きながらも、東京市からアメリカに桜を寄贈し、日米両国の友好親善を促すなど、世界を見てきた尾崎ならではの国際感覚を生かした「自治体外交」も行いました。
そして何より、当時、「利権の巣窟」「伏魔殿」と呼ばれていた東京市政の金権腐敗・汚職を厳しく追及し、一掃したのです。尾崎の在任中は、汚職事件が一件も起きませんでした。
国政・政党のしがらみから距離を置き、市民の生活と真摯に向き合いながら、国際感覚を持って10年先・20年先を見据えた政策・改革を実行する、そして、利権を排し、不正を正す――東京市長時代の尾崎行雄の取り組みは、今の都知事のみならず、日本の首長全体に求められる要素ではないでしょうか。
東京都知事選の投開票日は、7月31日です。
INPS Japan
関連記事: