【ハラレIDN=ジェフリー・モヨ】
ジンバブエでは、女性にとって引き続き越えなければならない様々な困難はあるものの、2030年を期限とする「持続可能な開発目標」の第5目標に沿ったジェンダー平等の達成という点においては、かなりの前進が見られる。
今日では、国会議席に占める女性議員の比率は改善し、大学入学者数でも、女性の方が男性の増加数よりも上回っている。さらに、ジンバブエの女性は、かつては男性優位だった職域にも進出するようになっている。
ジェンダー平等や女性のエンパワーメントに取り組んできたUNウィメンによると、国会議席に女性議員が占める比率は、2008年総選挙時の17%から、2013年7月31日の選挙時には35%にまで上昇している。
ジンバブエは、UNウィメンの評価に基づいて、少なくとも国会議員の3割まで女性を増やす特別クォータ制(割り当て制)を導入し、同じ制度を持つ30以上の国々の仲間入りを果たしている。
結果として、ジンバブエの新議会では国会議員350人中、女性議員が124人となっている。この中には86人の国民議会(下院)の女性議員がおり、うち60議席が割り当てによるもの、26議席が210選挙区からの直接選出によるものとなっている。
また軍においても、女性が最近トップレベルに昇格するようになっている。これはとりわけUNウィメン・ジンバブエ事務所の尽力によるものであり、開発、エンパワーメント、政治参加、女性の安全に焦点を当てて、政府を支援してきた。
「ジンバブエは、SDGsの第5目標を含め、10のSDGsを優先してきました。最も優先されている開発目標はジェンダーに配慮したものです。」と語るのは、UNウィメン・ジンバブエ事務所専門戦略アドバイザーのジェルダ・ヌフリジヨ氏である。
ジンバブエは、とりわけ女子差別撤廃条約(CEDAW)や南部アフリカ開発共同体ジェンダー・開発議定書(SADCジェンダー議定書)などの国際的・地域的取り決めを批准している。
女性問題・ジェンダー・地域開発省によると、2013年、ジンバブエはまた、強力なジェンダー平等と女性の人権条項で特徴づけられる新たな憲法を採択した。
ニャシャ・チクウィンヤ女性問題・ジェンダー・地域開発大臣はIDNの取材に対して、「政府は、強力な法的・政策的枠組みを通じて、ジェンダー平等と女性の権利を前進させるとの公約を示してきました。ジェンダー平等を推進するうえで、私たちは正しい方向に向かっていると言って差し支えないと思います。」と語った。
2年前、UNウィメン、国際労働機関(ILO)、国産開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)は、ジンバブエにおける国連のひとつの一里塚として、同国でジェンダー平等と女性のエンパワーメントを促進する初の共同事業を立ち上げた。
スウェーデン政府からの支援を受けて始まった同事業は、ジンバブエの女性問題・ジェンダー・地域開発省との協力で実施されている。これは、同国が、ジェンダー平等や女性・女児のエンパワーメントに向けた国際的・地域的取り決めの加盟国であることから可能となった。
ジンバブエは現在、公務員における女性割合が25%を占め、ジェンダー平等の達成に向けて歩みを進めつつある。とりわけ、国防軍においては、女性が重要な地位を占めるなど、大きな改善が見られている。
結果として、女性で軍人でもあるエレン・チウェシェ氏のような人物にしてみれば、昇進に限界はなくなっている。彼女の地位は航空群の司令官で、最近では同国空軍ナンバー3の地位である女性初の空軍准将に昇進した。
「限界はなくなりました。女性が高位の地位を占めるのを、もはや妨げるものはなにもありません。」と、ジンバブエ空軍司令官で空軍大将であるペレンス・シリ氏がジンバブエ国営紙『ヘラルド』に今年初めに語っている。
UNウィメン・ジンバブエ事務所は政府や市民社会と協力し、政策改革や、女性の地位向上と社会進出を妨げている財源不足の領域を把握することで、政府の公約が支持され前進するよう取り組みを進めている。
UNウィメンの現地事務所はまた、市民社会を通じて女性政治家や官僚を支援し、同国の抑圧されてきた女性たちが教育を受けることができるように、彼女たちのニーズを把握し対応してきた実績を持っている。
UNウィメンによれば、このことが、女性が男性と同等に発展することを確実にしているという。現在アフリカ連合は、分野横断的な目標としてのジェンダー平等など、各々の加盟国内と地域の両レベルにおいて持続可能な開目標(SDGs)を優先している。
南部アフリカ開発共同体(SADC)は、アフリカ全体で、そしてとりわけジンバブエにおいてジェンダー平等が実現するように、歩みを進めてきた。
「南部アフリカジェンダー議定書連合」は、5月にハラレで開かれたSADCジェンダー関連閣僚会合に提出した覚書で、「SDGsの第5目標(ジェンダー平等)では、(女性による)意見・選択・統制がより強調されており、その前のミレニアム開発目標第3目標よりもはるかに前進しています。」と語った。
しかし、民主主義を求めるロビー集団「青年対話行動ネットワーク」の代表で女性の人権を擁護する活動家キャサリン・ムクワプティ氏は、SDG第5目標に掲げられたジェンダー平等は、国内の遠隔地においては危機にさらされている、と感じている。
「農村世帯での貧困は、女性や子どもに影響を及ぼしている経済移民が大量に発生しているという状況の中で、ひとつのハードルとなっています。女性たちは、政治的、社会的、経済的不平等にさらされ、しかも状況は、男性よりも女性の罹患率が高いHIVとエイズの蔓延によって悪化しています。」とムクワプティ氏はIDNの取材に対して語った。
「農村地帯では依然として土着文化と伝統が重んじられており、ジェンダー平等に関連する事柄はタブーであり認知されていません。そうした状況下で、農村地帯の女性は、人生の多くの場面で抑圧されたままの状況にあります。」とムクワプティ氏は付け加えた。
にもかかわらず、2年前、ジンバブエの国連事務所は、同国初の「ジェンダー平等に関する共同事業」を立ち上げ、女性のエンパワーメントを前進させるために、スウェーデン国際開発庁が500万ドル以上の供与を行っている。
同じ時期に、ジンバブエは、女子差別撤廃条約(CEDAW)と、「南部アフリカ地域共同体ジェンダー・開発議定書」(SADCジェンダー議定書)の署名国となった。
ジンバブエの首都ハラレで先進レベル教育を受けている18才のミルドレッド・チャウケさんは、「私は女子学生として科学教育を受けるための支援を政府から受けています。私は国連のジェンダー平等目標達成にむけた政府の取組を目の当たりにしてきた生き証人です。」と語った。
ジンバブエでは一般的に「A」レベル教育として知られる先進レベル教育(Advanced Level of Education)は、総合大学あるいは単科大学に入学する直前の最高レベルの中等教育である。
ジンバブエ高等教育・科学・技術開発省が発表した今年3月11日時点での最新の統計では、科学、技術、工学、数学分野の取り組みにおいて、同国10州の3404人の学生が支援を受けており、そのうち55%が女子学生であるという。(原文へ)PDF
翻訳:INPS Japan
This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.
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