SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)ラテンアメリカとOPANAL:ヒロシマ・ナガサキから79年、核兵器との闘いにおける重要な指標

ラテンアメリカとOPANAL:ヒロシマ・ナガサキから79年、核兵器との闘いにおける重要な指標

メキシコで『核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択』展が開催中である。ラテンアメリカ・カリブ核兵器禁止機構(OPANAL)は、この展示会の開会式に名誉ゲストとして招かれた。OPANALは核兵器禁止に関する経験を共有するため、今月下旬にカザフスタンで開催される5つの核兵器禁止地帯が集まる会議などに参加する予定である。

【メキシコシティーINPS Japan=ギレルモ・アラヤ・アラニス】

The remains of the Prefectural Industry Promotion Building, after the dropping of the atomic bomb, in Hiroshima, Japan. This site was later preserved as a monument. Credit: UN Photo/DB
The remains of the Prefectural Industry Promotion Building, after the dropping of the atomic bomb, in Hiroshima, Japan. This site was later preserved as a monument. Credit: UN Photo/DB

現在、メキシコで最も権威のある大学の一つであるメキシコ大学院大学で開催中の「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展は、核兵器がもたらす危険についての認識を高めることに焦点を当てている。この展示は、広島と長崎への原爆投下から79周年を記念するイベントの一環である。

「原爆投下は、80年近く議論されてきたデリケートなテーマであるにもかかわらず、いまだに原爆投下について知らない人や、信じていない人がいます。私たちの使命は、市民、学生、専門家の意識を高めることです。」と、メキシコ創価学会ネレオ・オルダス理事長は語った。

Exhibition: “”Everything You Treasure- For a World Free From Nuclear Weapons”. Photos: Guillermo Ayala Alanis.
Exhibition: “”Everything You Treasure- For a World Free From Nuclear Weapons”. Photos: Guillermo Ayala Alanis.

創価学会インタナショナル核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が共同制作したこの展示は核軍縮に関する42枚のパネルで構成されてており、2012年に広島で初めて開催された。その後、スペイン語、英語、日本語、ロシア語に翻訳されている。メキシコでは、首都の各大学をはじめ、グアダラハラ、プエブラ、ラ・ピエダードなどの都市で展示会が開催されている。

また別のパネルでは、8月6日と9日の被爆体験を若い世代に伝え、核攻撃が二度と起こらないようにするための闘いを続ける被爆者の活動が紹介されている。

またこの展示では、核兵器の製造を可能にしている資金援助の問題について理解を深めることができる。あるパネルには、24カ国の329の銀行、年金基金、その他の金融機関が核兵器を製造する企業への投資に関与しており、中でも北米の204機関が最も多く貢献している実態を明らかにしている。

8月6日の開会式で挨拶したOPANALのフラビオ・ロベルト・ボンザニーニ事務局長は、気候変動と並んで人類にとって最大の脅威である核兵器の完全廃絶の必要性を訴える優れた取り組みとして、このイニシアチブを称賛した。

「メキシコは、ラテンアメリカおよびカリブ海諸国とともに、世界で初めて人口密集地域における非核兵器地帯(NWFZ)を形成しました。この遺産は、トラテロルコ条約に具現化されており、この条約は、現在では国連加盟国のほぼ3分の2を包含する4つの他の非核兵器地帯の創設にインスピレーションとモデルを提供してきました。」とボンザニーニ事務局長は語った。

Exhibition: “”Everything You Treasure- For a World Free From Nuclear Weapons”. Photos: Guillermo Ayala Alanis.

ボンザニーニ事務局長はまた、OPANALが世界で唯一、軍縮と核不拡散に専念する組織であることを強調し、より平和で安全な世界を築くことの重要性と、そのプロセスにおいて各人が果たすべき役割について考えるよう呼びかけた。

Central Downtown Astana with Bayterek tower/ Wikimedia Commons
Central Downtown Astana with Bayterek tower/ Wikimedia Commons

OPANALは、8月27日から28日にかけてカザフスタンの首都アスタナで開催される核不拡散と核軍縮に関連する一連の会議に参加する予定だ。これらの会議は、1949年から89年にかけて456回もの核実験が行われたセミパラチンスク核実験場の閉鎖(8月29日)から33周年を記念する行事の一環として開催される。

OPANALの研究教育担当官であるナタリア・ジュリーナ氏は、INPS Japanの取材に対して、OPANALが他の4つの非核兵器地帯と今般カザフスタンで会合を開き、経験を共有し、核兵器禁止に向けて連携を強化するためのコミュニケーションチャネルを見出し続けることの重要性を強調した。『お話ししたように、他の地域にはOPANALのような組織は存在しません。中央アジアのような地域がそのような組織の設立に強い関心を持っていることを私たちは知っています。彼らはOPANALについて学び、その運営方法を理解したいと考えています。』とジュリーナ氏は説明した。

また、ジュリーナ氏は、中東における非核兵器地帯の設立に関する非公式会合にOPANALが参加する予定であることにも言及した。また、「OPANALは、ICANが主催する会合にも出席し、核兵器禁止条約(TPNW)に関連する問題について議論する予定です。私たちはTPNWを、核兵器の禁止を初めて定めたトラテロルコ条約のグローバル版と見なしています。TPNWは、トラテロルコ条約から多くの原則を取り入れており、OPANALも同様です。』と語った。

Natalia Zhurina, Research and Education Officer of OPANAL. Photo:OPANAL
Natalia Zhurina, Research and Education Officer of OPANAL. Photo:OPANAL

「ラテンアメリカおよびカリブ海地域は、核兵器の軍縮と不拡散において模範的な地域とされています。この地域の諸国は、大量破壊兵器がもたらす深刻な脅威にもかかわらず、これらの問題に対して強いコミットメントを維持しています。『ラテンアメリカとカリブ海地域では、すべての問題で国々が常に意見を一致させるわけではありませんが、軍縮と不拡散に関しては共通のビジョンと組織的なアプローチを持っています。OPANALとこの地域は、他の国々に希望を与え、模範を示しています。』と、カザフスタンでの一連の会議にボンザニーニ事務局長とともに出席する予定のジュリーナ氏は語った。

国連の推定によれば、世界には約12,500発の核兵器が存在しており、核兵器のない世界を目指して政府に働きかけ、資源を投入させるために、社会全体の役割が極めて重要となっている。「核兵器なき世界への連帯―勇気と希望の選択」展のような展示会は、メキシコのように「核の脅威がない地域(=非核兵器地帯)」に住むことの特権について、改めて若者たちの意識を高める役割を果たしてきた。

Nuclear Weapon Free Zones. Credit: IAEA
Nuclear Weapon Free Zones. Credit: IAEA

このパネル展示は、8月15日までメキシコ大学院大学にて、核兵器や核不拡散に関する論文や文献とともに展示される予定である。(原文へ

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This article is brought to you by INPS Japan in partnership with Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC.

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