SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)イラン核合意の復活に向け、米に外交再開の圧力強まる

イラン核合意の復活に向け、米に外交再開の圧力強まる

【ワシントンDC=J・C・スレシュ】

軍備管理の専門家たちはジョセフ・バイデン大統領に対して、「共同包括的行動計画」(JCPOA)として知られる2015年のイラン核合意の履行再開に向けて、膠着状態を打破する努力を直ちに強化するよう圧力をかけている。

例えば、国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシ事務局長は、核施設を監視する一部のカメラの接続を解除したとのイランの6月9日の発表以来、今後3週間から4週間でJCPOA再開の努力には「致命的な打撃」があるだろうと警告した。

イランは今週、核施設を監視している27個のカメラの接続を解除した。2003年以前からの核開発計画に関連した未申告核物質のIAEA調査に協力することをイランに求めたIAEA理事会決議に反発したものである。

グロッシ事務局長は6月9日、カメラが3~4週間以上接続されない場合、JCPOAを復活させるために必要なイランの核活動に関する情報をIAEAが継続して得ることが難しくなると警告した。

「軍備管理協会」のダリル・G・キンボール事務局長は、「バイデン大統領は、イランによる兵器級核物質の生産能力を弱め、イランの機微な核活動に対するIAEAのより厳格な監視を維持するには、JCPOAの相互順守を回復させる方向性を明確に支持している。」と語った。

キンボール事務局長は、「残念ながらバイデン政権は、トランプ大統領が2018年にイラン核合意から無責任に離脱したことによって引き起こされた危機の拡大を、それに見合う必要な緊急度をもって取り扱っていない。しかし、新たな不穏な動きを受けて、ホワイトハウスが緊急の動きを取らなくなってしまうかもしれない」と不満を述べた。

軍備管理協会「不拡散政策プログラム」の責任者ケルジー・ダベンポート氏は、「JCPOAの遵守に向けて双方が回帰していく協議がなされており、即時に実行に移すことが可能だ。核兵器とは関係のない問題、すなわち、米国がイスラム革命防衛隊を海外テロ組織指定から解除するかどうか、解除するならその条件は何かということをめぐって米国とイラン双方が強硬な態度を取るのを止めれば、の話だが」と語った。

「双方が行き詰まりを解決し、最終的にすべての利害関係者のためになること、つまり2015年の核合意の遵守を回復するための合意を実現する機はとうに熟している。」とダベンポート氏は語った。

キンボール氏は、「バイデン政権は、合意の受け入れ、あるいはテロ組織指定の解除の問題についてはイラン次第という態度を取り続けている。しかし、この問題に関してゆきづまりを打開するための外交努力を即時強化するとの発表を行わないのは、ホワイトハウスのリーダーシップ不足だ。イランを感情的あるいは政治的に非難すれば満足感は得られるかもしれないが、目前の核危機がそれで解消されるわけではないし、米国の国益にもならない。」と語った。

「バイデン大統領がイラン革命防衛隊の制裁を解除してもその政治的コストは小さいものだ。イランが核武装して国家安全保障や国際安全保障に大きな脅威が与えられることと比較すれば、大した問題ではない。現在、イランは10日もかからずに核爆弾1発分の核物質を生産することができる。これは、テヘランの行動が国際査察団に探知されない可能性があるほど短い期間である。JCPOAによるイランの核開発制限を回復すれば、その余裕は約6カ月に大幅に拡大し、国際社会はイランの核兵器開発への動きに対抗するための効果的な行動を取るのに十分な時間を確保できる。」とダベンポート氏は語った。

ダベンポート氏はさらに、「もしバイデン大統領がJCPOA復活に向けたイランとの協議を妥結することができなければ、トランプ政権が追求した誤った方針が継続されることになる。イランが核開発を強化し、IAEAとの保障措置上の義務を果たさないのを認めることになってしまう。バイデンはイランが核開発の瀬戸際にまで到達するのを許した大統領として歴史に名を残してしまうかもしれない。米国がこのゆきづまりを打開するために創造的な提案を行う機は熟している。」と警告した。(原文へ

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