SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)国連の未来サミットで子どもの保護と参加が重要視される理由

国連の未来サミットで子どもの保護と参加が重要視される理由

【カトマンズ/ナイロビIPS=クル・C・ゴータム、ムスタファ・Y・アリ】

国連は今年、年次総会の期間中である9月22日から23日にかけて、「未来サミット」を開催する。各国の首脳や政府代表がニューヨークの国連本部に集まり、「未来の世代の権利を保護し、正式に保障する」ことを目的とした多国間かつ行動指向の「未来のための協定」について議論し、合意し、承認する予定だ。

この協定の草案には、持続可能性、平和と安全保障、科学技術、若者、ガバナンスを巡る行動計画が既に詳述されており、サミットは「一世代に一度の機会」と呼ばれている。

The 2nd meeting of state parties to TPNW will take place at the United Nations Headquarters in New York between 27 November and 1 December this year.
The 2nd meeting of state parties to TPNW will take place at the United Nations Headquarters in New York between 27 November and 1 December this year.

実際、パンデミック後の政治、経済、安全保障、社会の力学(および再編成)が世界秩序を再定義し、多国間組織への信頼を蝕み、国際法の限界を露呈している今、人類を正義と公平の道へ導くための緊急行動が求められている。

世界は転換期を迎えており、「未来のための協定」の手段である多国間主義が、便宜のために放棄される危機に瀕している。

子どもたちのためのより良い世界を目指す擁護者として、宗教間の協力を含め、サミットと協定の背後にある立派な意図に賛辞を送りたい。しかし、現在の協定草案には多くの改善の余地がある。つまり、未来そのものである子どもたちが、若者や未来の世代と混同されるか、僅かにしか言及されていないのだ。

この協定は、成人、青少年、若者に焦点を当てている。しかし自分たち固有のニーズや権利を表現できない、最も弱い立場にある乳幼児の保護と福祉は、明確に優先されていない。

子どもたちが世界の人口の3分の1を占め、今後30年間で42億人の子どもが生まれると予測されていることを考えれば、彼らの権利を保護し、福祉を促進することが、人類のより良い未来を確保することを目指したいかなる協定の中心に据えられるべきであることは自明であろう。

子どものいない未来はない

私たちは、驚異的な科学の進歩、経済的繁栄、そしてかつてないほどの男女平等の世界に生きている。しかし、飢えに苦しみ、家を失い、切実に保護を必要とする子どもたちの数は、世界的にかつてないほど増えている。

UNICEF
UNICEF

ユニセフによると、10億人近い子どもたちが多面的貧困の中で暮らし、さらに3億3,300万人の子どもたちが極度の貧困に苦しんでいる。これらの衝撃的で歴史的に前例のない数字は、増大する不平等、新型コロナウイルスのパンデミック、壊滅的な食料とエネルギーの危機、気候緊急事態、新たなそして長期化する紛争によってさらに悪化している。

昨年だけでも1,050万人以上の子どもたちが、主に紛争や暴力のために家を追われた。現在、世界中で家を追われた子どもたちの数は5,000万人以上、紛争地帯で暮らす子どもたちの数は4億6,000万人を超えると推定されている。

いわゆる「通常の」、安定した、平和な環境においてさえ、子どもたちは急速に拡大するデジタル環境の危険、差別、不平等、虐待、そして一部は宗教の名の下に行われる搾取に日常的にさらされている。

「未来のための協定」に子どもたちが明示的に言及されなければ、子どもたち固有の権利や独自の視点が忘れ去られてしまう危険性がある。子どもの権利委員会の前委員長が2月に強調したように、「もし国連が、人々を中心としたパートナーシップと連帯のための、より包括的な多国間プラットフォームとなることを真に約束するのであれば(中略)、子どもたちを未来サミットのプロセスから排除することはできない(中略)。子どもたちは、サミットとその結果としての「未来のための協定」の主体であると同時に、サミットの前、最中、そしてサミット後の積極的な参加者であるべきだ。」

子どもは訴えている!

国連の未来サミットが開催されてまもなくの11月19日から21日にかけて、アラブ首長国連邦のアブダビで、世界の主要な宗教と精神的伝統の指導者たち、そして各国政府と国際機関の代表者たちが、「子どものための宗教者ネットワーク」第6回フォーラムに集う。

安全なコミュニティのための諸宗教連合(IAFSC)が主催するこのフォーラムは、未来の立役者である子どもたちの声と権利を高めることを目的としており、子どもたちのための安全で安心で持続可能な世界を構築するという問題に、宗教間の視点から取り組む。

ガザ地区で起きている子どもたちを巡る最近の記憶で最大の悲劇を前に、世界の宗教的・世俗的指導者たちが集い、祈りをささげ、私たちが今日目撃しているような無分別な子どもたちの殺傷を「二度と」許さないための行動を喚起するのに、これほどふさわしいテーマ、場所はないだろう。

フォーラムの「安全な世界を構築する」というテーマは、デジタル世界における子どもの尊厳、家族の役割と協力的なコミュニティ、レジリエンスの構築、そして世界的な衝撃、新たな危機、パンデミックに直面した際のメンタルヘルスの強化などを取り上げる。

フォーラムは「安全な世界の構築」のテーマの下、紛争、戦争、外国人嫌悪、ヘイトクライム、過激主義の根本原因、紛争へのレジリエンスの構築、紛争や戦争が子どもたちに与える影響、そして子どもたちのための平和で包括的な世界の構築を取り上げる。最後のテーマである「持続可能な世界の構築」では、責任あるライフスタイル、飢餓、子どもの貧困、不平等、倫理的価値と教育、そして気候変動に配慮したスチュワードシップについて議論する。

このフォーラムは、信仰、文化、人種、経済・社会的背景に関係なく、子どもたちが恐れや制限を受けることなく成長し活躍できる未来のために、世代を超えた対話、相互理解、協力、そして子どもたちのため、子どもたちと共に主張する適応能力を育むことが期待されている。

子どもたちの権利と声を「未来のための協定」の中心に据えることを怠れば、私たちは、現在の世界人口の3分の1、そして将来生まれてくる何十億もの子どもたちの期待を裏切ることになる。子どもは訴えている!私たちは努力を結集し、行動を強化し、子どもたちの声を中心に据えて、すべての人にとって安全で、安心でき、持続可能で、希望に満ちた世界を築くために団結しなければならない。(原文へ

クル・ゴータム氏は、ユニセフの元事務局次長、ありがとうインターナショナル・アドバイザリー・グループ議長、子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)第6回フォーラム国際組織委員会議長。ムスタファ・Y・アリ博士は、GNRC事務局長であり、ありがとうインターナショナル・ナイロビ事務局長。

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