【アスタナINPS Japan/Atana Times=アセル・サトゥバルディナ】
核拡散のリスクが高まり緊張が深まる中、国際連合(UN)は引き続き核軍縮を推進している。この分野で比類なき道徳的権威を持つカザフスタンは、この取り組みの重要な支援国であると、国連事務次長兼軍縮担当上級代表の中満泉氏は、アスタナタイムズの取材に対して語った。
「カザフスタンは、これらの問題においてすでに非常に強力なリーダーシップを発揮しています。カザフスタンが提案した『核実験に反対する国際デー』は、国際社会に大きな勢いをもたらしました。NPT(核不拡散条約)やTPNW(核兵器禁止条約)など、多くの条約メカニズムにおいて、カザフスタンは多国間協議や交渉を主導しています。」と中満氏は語った。
中満氏は、8月27日から28日にかけてカザフスタンの首都アスタナで開催される非核兵器地帯に関するワークショップに出席するため、同地を訪問している。このワークショップは、カザフスタンと国連軍縮部(UNODA)との協力により開催されている。
「これはカザフスタンの道徳的権威と非常にユニークな経験によって支えられていると思います。そして、カザフスタンが核軍縮の強力なリーダーの一つとして台頭したことは、国連やニューヨークでの文脈において非常に役立っています。」と中満氏は語った。
1991年にソ連の崩壊に伴い独立を果たしたカザフスタンは、当時世界第4位の核兵器を自発的に放棄した。その数ヶ月前の1991年8月29日、カザフスタンは40年間にわたりソビエト連邦が450回以上の核実験を行ったセミパラチンスク核実験場を閉鎖した。この大胆な決断が、核兵器のない世界を提唱するカザフスタンのその後数十年にわたる道のりの礎となった。
カザフスタンの継続的な活動には、中央アジア非核兵器地帯の設立や、2009年8月29日を「核実験に反対する国際デー」と定めることなどが含まれ、同国の立場を確固たるものにしている。
中満氏は、「国連の軍縮アジェンダは、核兵器の廃絶こそが世界的な安全保障にとって不可欠であるという信念に根ざしています。」と強調した。
「核兵器廃絶への道筋を取り戻すことは、世界の平和と安全保障のために最も重要な課題の一つです。核兵器のない世界という共通の目標は依然として保持されていますが、最近の情勢を見ると、多くのリスクが増大していることが分かります。これは国連にとって非常に憂慮すべきことです。」と中満氏は語った。
軍縮努力における最も差し迫った課題の一つは、核保有国を交渉の場に引き出すことです。
「私たちはさまざまな方法、さまざまな場所で核兵器国を実際に集めています。もちろん、これらの国々には枠組みがあります。それはNPTの枠組みにおけるN5協議プロセスと呼ばれるものです。私たちは、核兵器のリスクや核保有国が負う核軍縮の義務と責任に関する問題について、各国が直接話し合うことを奨励しています。」と中満氏は説明した。
国連が軍縮アジェンダを促進する方法について、中満氏はNPTとTPNWの既存のプロセスに言及した。両者は核兵器に対処することを目的とした国際条約であるが、その範囲と法的枠組みは異なる。
NPTは1970年に発効した条約で、核兵器の拡散防止、核軍縮の奨励、原子力の平和利用の促進に焦点を当てた国際協定の礎となるものである。
「ところで、今年7月にジュネーブで開催された2026年NPT運用検討会議第2回準備委員会の議長はカザフスタンが務めました。」と中満氏は付け加えた。
カザフスタンは1994年以来、非核兵器国としてNPTに加盟している。
2024年、カザフスタンはNPT再検討サイクルにおける主要イベントの議長国を初めて務めることとなった。NPT再検討会議は5年ごとに開催され、条約の履行状況を評価し、その目的を達成するための今後のステップの概要を策定する。第11回NPT再検討会議は2026年にニューヨークで開催される予定である。
TPNWは2017年6月に採択され、21年1月に発効した。この条約は画期的なもので、それまで違法とされてこなかった最後の大量破壊兵器である核兵器の保有を初めて国際法で禁止したものである。
カザフスタンは2018年3月2日にTPNWに署名し19年8月29日に批准した。現在、93の署名国と70の締約国がある。
カザフスタンは2025年3月にニューヨークで開催される第3回TPNW締約国会議の議長国を務める予定である。
「さらに、非常に重要な準備も進められています。それは「国連の未来サミット」と呼ばれるもので、国連総会のハイレベル週間にニューヨークで開催される予定です。国連加盟国によって、未来のための協定が交渉されています。交渉は現在も進行中ですので、最終的にどのような結果になるのかはまだわかりません。しかし、その文書では、核兵器問題と、廃絶目標を達成する方法に重点が置かれています。」と中満氏は語った。(原文へ)
INPS Japan/Astana Times
この記事は、The Astana Timesに初出掲載されたものです。
関連記事:
緊張が高まる中、カザフスタンが核軍縮の世界的推進に主導的な役割を果たす