SDGsGoal2(飢餓をゼロに)国連世界食糧計画(WFP)、深刻な資金削減で「緊急レベルの飢餓」を警告

国連世界食糧計画(WFP)、深刻な資金削減で「緊急レベルの飢餓」を警告

【国連IPS=オリトロ・カリム】

2025年、前例のない規模の対外援助および人道支援資金の削減が世界的な飢餓危機を悪化させ、数百万人が食料や基本的サービスへのアクセスを失っている。資金不足のため、支援機関はグローバルサウスを中心とする食料不安の最も深刻な地域で、命を救うための支援事業を縮小または停止せざるを得ない状況に追い込まれている。これらの地域では、紛争、避難、経済不安定、そして気候変動による衝撃がすでに深刻な事態を引き起こしている。

10月15日、世界食糧計画(WFP)は報告書『命綱が危機に瀕している:瀬戸際に立つ食糧支援(A Lifeline At Risk: Food Assistance At A Breaking Point)』を発表し、アフガニスタン、コンゴ民主共和国(DRC)、ハイチ、ソマリア、南スーダン、スーダンの6か国を事例に、資金不足が同機関の事業に与える影響を示した。これらの国々では、資金削減が壊滅的な結果をもたらし、地域社会全体が飢餓の瀬戸際に追いやられている。

「我々およびパートナー団体の活動は大幅に縮小しています」と、WFP緊急事態準備対応局長のロス・スミス氏は述べた。「それは、支援対象者を完全に外さざるを得なかったり、配給量や支援期間を短縮したりすることを意味します。現在、多くの脆弱な人々は安全網も着地点も失っているのです。」

報告書によると、2025年に緊急的な食料および生計支援を必要とする人々の数は過去最高の2億9500万人に達した。一方で、米国を含む主要ドナー国による対外援助・人道支援の大幅削減が進み、WFPはおよそ40%の資金カットに直面している。その結果、同機関は活動を大幅に縮小し、世界で最も飢餓に苦しむ人々への命綱となる支援を届ける能力が深刻に制限されている。

WFPは、こうした資金削減が「世界の食料安全保障を著しく損なうおそれがある」と警告している。推定では、WFPの食糧援助に依存する約1370万人が緊急レベルの飢餓に陥る可能性があり、特に子ども、女性、難民、国内避難民が不均衡に影響を受けている。

「これらの削減は、国家および地域レベルの食料不安をさらに引き起こすおそれがあります」と、WFP食料安全保障・栄養分析局長のジャン=マルタン・バウアー氏は述べた。同氏は、資金削減の影響はすぐには表面化せず、今後数か月かけて現れると指摘した。「報告書で『スローバーン(ゆっくり燃える)』と呼んでいるのはそのためです。削減の影響がすべての国や地域に完全に波及するまで、まだ時間がかかります。」

バウアー氏は、支援の縮小に伴う飢餓の拡大が、児童婚の増加、就学率の低下、社会不安の拡大、避難民の増加、経済的・政治的不安の深刻化など、既存の危機を悪化させる広範な影響をもたらすおそれがあると警鐘を鳴らした。また、難民コミュニティでは子どもの栄養失調率が上昇しており、多くの子どもたちが生涯にわたる健康被害に苦しむことになると報告している。

WFPが直面する最大の課題のひとつは、限られた資源を最も影響を受けた人々への緊急食糧支援に充てざるを得ないため、災害対策プログラムが削減されている点である。ハイチでは、避難民への温かい食事提供プログラムが停止され、月次配給も半減された。同国は過去最悪の飢餓レベルに苦しんでいる。

バウアー氏によれば、ハイチの人道支援用備蓄は完全に枯渇しており、2016年のハリケーン・マシュー以来初めて、WFPはその補充ができない状態にあるという。

同様に、スミス氏は、アフガニスタンの状況も年内に著しく悪化したと述べた。現在、同国の1千万人に及ぶ食料不安者のうち、支援を受けられているのは10%未満だという。「11月には食料供給の中断が予想されており、冬期支援もごく一部しか提供できません。冬季対策支援を受けられるのは必要としている人々の8%未満です」と同氏は語った。

コンゴ民主共和国(DRC)では、支援対象を230万人から60万人にまで縮小せざるを得ず、追加資金がなければ来年2月までに資源が完全に枯渇する見込みである。ソマリアでも支援規模は劇的に縮小され、昨年の4分の1以下の人々しか援助を受けられなくなった。

スーダンでは、8月に約400万人に支援を提供したものの、その半数はダルフールや南コルドファンといった到達困難地域の住民であった。「かつては政府支援がほとんど存在しない大規模プログラムを展開していましたが、現在は限られた資金の中で、飢饉を防ぐためにホットスポットからホットスポットへと移動するような緊急対応に切り替えています」とスミス氏は述べた。隣国の南スーダンでも、WFPは極度の飢餓に直面している市民を最優先に限られた資源を再配分している。

報告書によると、WFPは縮小する援助予算と人員削減の中で、支援対象を絞り、飢饉防止を最優先にした食糧援助に重点を置いている。バウアー氏は、支援団体が現地の関係者と連携し、飢餓のレベルを継続的に監視することの重要性を強調した。「データと分析は、人道コミュニティにとっての“GPS”です」と同氏は述べた。「データが失われれば、我々は道を見失うことになる。だからこそ、データの流れを絶やしてはならないのです。」(原文へ

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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