SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)「ホワイト・クリスマス」は気候変動対策を促す警鐘となるのか

「ホワイト・クリスマス」は気候変動対策を促す警鐘となるのか

【ワシントンDC IPS=フィリップ・ブノワ】

ククリスマスが近づくたびに、米国をはじめ世界各地の電波を席巻する一曲がある。「ホワイト・クリスマス」だ。ギネス世界記録によれば、この曲は累計販売枚数が5,000万枚を超え、史上最も売れたシングル盤である。

多くの人が、あの象徴的な冒頭の歌詞を知っている。

「白いクリスマスを夢見ている
昔よく知っていた、あの頃のような」

Bing Crosby, Public Domain 
Bing Crosby, Public Domain 

この米国のホリデー・クラシックは、作曲家アーヴィング・バーリンが第二次世界大戦のさなか、1942年に書き、ビング・クロスビーが録音した。そこには、より素朴な過去への郷愁と、より良い未来への希望が込められていた。

しかし、時代背景が変われば、意味合いも変化する。今日、私たちは新たな、そして異なる種類の地球規模の脅威――深刻な気候変動――に直面している。世界経済フォーラムの最近の報告書によれば、気候変動は2050年までに、追加で1,450万人の死亡と12兆5,000億ドルの経済損失をもたらす可能性がある。

近い将来、「ホワイト・クリスマス」の歌詞で最も際立つのは、かつて12月下旬には当たり前だった「雪のある風景」への郷愁かもしれない。気候変動の影響により、多くの地域でその体験は今後ますます希少になると予測されている。

もちろん、2025年12月の米国は極渦による厳しい寒波に見舞われている。しかし、世界の他地域では数十年で最も暖かい12月が観測されており、温室効果ガス排出に起因する大気中二酸化炭素濃度の上昇を背景に、今年は観測史上2番目に暑い年となる見通しだ。こうした傾向は、気候そのものを変えつつある。

2026年、2027年、あるいは2028年に雪の積もるクリスマスが訪れることはあるかもしれない。しかし、現在の気候予測が示すように、中長期的にはそれはますます稀な出来事となる。深刻な気候変動を回避できなければ、雪のあるクリスマスは多くの地域で「記憶の中の出来事」へと後退していく可能性が高い。

SDGs No. 13
SDGs No. 13

こうした状況のもと、「ホワイト・クリスマス」は新たな意味を帯び始めている。本来は郷愁と希望を喚起するために書かれた歌詞は、いまや文字どおりに読まれるべきだ。「白いクリスマスを夢見ている。昔よく知っていた、あの頃のような」という一節は、深刻な気候変動がもたらす異常と破壊を防ぐため、温室効果ガス排出を削減する必要性を私たちに警告している。

過去のホリデー・クラシックである「ホワイト・クリスマス」は、今日、気候変動対策を求める警鐘として聴かれるべきである。(原文へ

フィリップ・ブノワは、気候変動を専門とする「グローバル・インフラストラクチャー・アドバイザリー・サービス2050」のマネージング・ディレクターである。

INPS Japan/IPS UN Bureau Report

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