【バンコクIPS=マルワーン・マカン・マルカール】
「政権を取るには下院の3分の2の多数を占めていなくてはならない」とのカンボジア憲法の条項が3月2日に改正され、フンセン首相率いるカンボジア人民党(全123議席中73議席)が晴れて政権の座に着いた。
同時に、フンセン氏にとってもう一つのうれしいニュースが舞い込んだ。3月2日から3日にかけて行なわれていた、カンボジアに対する国際ドナーから成る「協議グループ」の会合において、今後1年間に6億ドルの支援を行なうことが決定したのである。カンボジア政府が要求していたのは、5.13億ドルであった。国際援助は、カンボジア国家予算のおおよそ半分を占めるほど巨大なものだ。
だが、協議グループは国際援助に3つの条件を課した。すなわち、包括的な汚職撲滅法の制定、司法改革、自然資源の破壊防止である。汚職・不正に関しては、土地の横領・違法森林伐採・リベート要求などが問題となってきた。
米国際援助庁(USAID)が2004年に出した報告書では、不正行為によりカンボジアでは毎年5億ドルが失われている、と指摘されている。
市民団体からも批判の声が上がっている。「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」の「2005年腐敗指標」によると、カンボジアは158ヵ国中131位に位置している。18のNGOから成る「カンボジア人権行動委員会」は、「汚職撲滅委員会」の設置を求める声明を発している。
また、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」など5つの地域・国際団体が今回のドナー会議の直前に送った書簡では次のように述べられている。「官僚や強力な一族が広く土地を差押さえ、これに人権侵害がともなっている。昨年3月には、5名の村人が射殺された」。
汚職体質のカンボジア政治に対する国内外からの批判について紹介する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
関連記事:
憲法改正で各党合意か