【カトマンズIPS=スマン・プラダン】
ネパールのコイララ首相の要請で和平プロセスを支援するため国連のミッションがカトマンズに派遣されて1週間になるが、ネパール共産党毛派マオイストと主要7政党の対立は鮮明になるばかりで、未だ打開の道は見出せないままだ。
国連ミッションの任務のひとつは武装勢力の武器管理の道を探る手助けをすることと、憲法制定議会の自由で公正な選挙の実施に向けて技術その他支援を行なうことである。同議会による新憲法の制定こそ、13,000人もの命を奪った10年に及ぶ紛争の恒久的解決策、とすべての陣営が見ている。
だが国連にできることは各当事者が認めることに限られており、彼らの間に共通の理解を生み出すことは困難な様相を呈してきている。マオイストは、武器を国連の監視下に置くのは、政府軍も同様の行動をとることが条件と主張。一方政府は、正規軍である政府軍が武装解除に従うことはあり得ないとの論だ。
この決定的な意見の対立に、国連ミッションを率いるスウェーデンの外交官Staffan deMistura氏は7月31日、「国連ミッションには残り3日半しかない。ネパールの対話者全員がとりわけ武器管理の問題について共通の理解に早急に達することがきわめて重要」と述べ、不満をあらわにした。
しかしこうした苛立ちに、マオイスト側は「国連の仕事は我々に圧力をかけることではない。合意に達するのは我々であって、国連は仲介役にすぎない」と述べ、主要7政党側も、「国連の圧力は余計なこと」とまったく同じ反応を見せている。
しかし国連ミッションに近い筋は、和平プロセスを制度化できるチャンスが今であればあると指摘。しかし関係双方が武器管理の細かな点でもめている間に、レバノン、スーダン、スリランカの危機が国連の注意を奪い始めており、「このチャンスをつかまなければネパールは忘れ去られるだろう」と危惧する。
武器管理を巡るマオイストと主要7政党の対立に、国連の関与ばかりでなく、暫定政権の樹立と憲法制定議会の選挙の実施まで危ぶまれているネパールの和平プロセスについて報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー:IPS Japan浅霧勝浩
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