【カイロIPS=アダム・モロウ&カレド・ムッサ・アル・オムラニ】
エジプトの政府機関紙「アル・アハラム」は2月7日、カイラート・アルシャタルを始めとするムスリム同胞団のリーダー49人が、アル・アズハル大学の反政府学生グループへの資金提供および海外からの“暴力活動”資金受け取り容疑で軍事裁判にかけられると報じた。
軍事裁判で有罪判決が下った場合は控訴が認められず、大統領の恩赦を待つ以外にない。
12月アル・アズハル大学(在カイロ)で同胞団に所属する学生が抗議行動を行ったのに端を発し、政府は圧力を強化。学生の抗議行動は小規模であったにも拘らず、政府機関紙は“イスラム民兵”の暴動と報じた(同事件で学生124人とイスラム同胞団のリーダー20人が逮捕された)。
同事件を受けて、ムバラク大統領は1月15日、「同グループは、その宗教性により国家の脅威となる」と異例の声明を発表。また同胞団と関係のあるビジネスマン29人の資産凍結を行った。
これについて、政治評論家の一部は、「最も有力な野党である同胞団を政治の舞台から追放するための形振り構わぬ措置」と批判している。また、法律専門家、人権活動家も、「緊急事態法に基づき軍事裁判を行うのは、法の乱用」と非難している。カイロを拠とする「司法独立アラブ・センター」は、軍事裁判で民間人を裁くことに強く反対。公平な裁判を保証する国際条約に違反するとの声明を発した。
また、人権擁護団体Egyptian Organization for Human Rightsのアブ・サエダ氏は、「緊急事態法の延長に際し、政府はテロと麻薬密輸にのみ適用されると説明したが、ムスリム同胞団は、テロリスト・グループでも麻薬密売組織でもない」と語っている。
多くの批判にも拘らず、政府は2月25日、カイロ、アレキサンドリア等で更に80人を拘束している。ムバラク政権の対ムスリム同胞団弾圧について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan