ニュース|レバノン|ヒズボラ、ベイルート銃撃戦で政治力拡大

|レバノン|ヒズボラ、ベイルート銃撃戦で政治力拡大

【ベイルートIPS=モナ・アラミ】

シリアが行ったとされる2005年のハリリ前首相の暗殺以来、シーア派のアマルおよびヒズボラとスンニ派与党の未来運動(Future Movement)との抗争が続いているレバノンで5月7日、生活苦およびインフレ高騰に抗議するデモが両派の暴動に発展。銃撃戦で少なくとも11人が死亡、30人が負傷した。 

ヒズボラのリーダー、ハッサン・ナスララ師が、ワフィク・ショウカイール准将を空港セキュリティーの任務から外したこと、政府がヒズボラの通信ネットワークを捜査したことを糾弾し、同暴動は翌8日には政治衝突に発展。ヒズボラ・リーダーは、内閣のこれら決定を“戦線布告”と糾弾。この発言に呼応するかの様に、首都ベイルートに銃声が響いた。

 戦闘訓練、装備が不十分な未来運動は武装した野党メンバーを前に退却。野党側は未来運動のサアド・ハリリ党首および社会進歩党のワリド・ジュンブラット党首宅ならびに政府建物を包囲した。この間、レバノン軍は、緊急事態宣言を行わず、中立を保って衝突に加わらなかった。 

政治学者で「ヒズボラ:政治および宗教」の著者でもあるアマル・サアド・ゴライェブ氏は、「これはレバノン政治の新局面以外の何ものでもない。力関係の不均衡により、紛争は短期間で解決されるだろう」と語る。同氏は、「今回証明されたヒズボラの軍事的優位により、与党は譲歩を余儀なくされる。政府は総辞職を余儀なくされ、暫定政府は、野党が以前から望んでいた早期議会選挙を要求するだろう」と語る。 

戦闘が収まり、野党が市の西側を支配したことにより、今回の事件は国内だけでなく地域にも影響を与えるだろう。ゴライェブ氏は、「これが政治秩序の大幅な変革に繋がることは明らかであり、システムの不均衡を修正するためのタエフ合意見直しの布石となるかも知れない」と語っている。(タエフ合意は1990年のレバノン内戦終結時に調印された民兵組織の解体とイスラム/キリスト教徒間の平等な力配分を定めた関係者間合意) 

ヒズボラと未来運動のベイルート銃撃戦について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 

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