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|国連|戦争も平和もメディア次第

【国連IPS=ナスターシャ・ホフェット】

2003年にラジオとテレビの放送局であるリブレデミルコリーヌ社の二人の記者がルワンダ大虐殺の戦争責任を問う裁判で有罪判決を受けた。紛争期間中にメディアが憎しみをあおるような内容の報道を行うことの危険性が浮き彫りになった判決である。この判決は1993年から94年にかけての同社の報道内容が「ルワンダにおける憎しみをあおり、大量虐殺につながった」ことに基づいており、ニュルンベルグ裁判における反ユダヤ主義報道に対する有罪判決以来初のメディアに対する有罪判決である。

専門家は国連開発計画(UNDP)や世界銀行や国連平和構築委員会などの国際機関が紛争当事国のメディアと協力して適切な対応を取る必要性を指摘している。

紛争を専門とするNGOであるサーチフォーコモングラウンドの代表は「紛争地域においては対話型のコミュニケーションを確立し、政治で決まったことを国民に伝え、国民のニーズ、怖れ、願いなどを政府に提案しやすくすることが有効だ。現状では予算不足で平和構築にメディアが貢献するレベルに達していない。」と述べた。

 コミュニケーションは紛争の再燃防止や治安の維持にも有効であると言う国連広報担当者の指摘もある。

国連平和維持軍は国連全体の半分近くの予算を割り当てられているにもかかわらず派遣先の国において平和維持軍が公共メディアを整備するための予算はごくわずかにとどまっている。

国連開発計画のメディア開発担当者は動員解除や和解や選挙にメディアは積極活用すべきだと指摘する。また平和構築委員会も場当たり的な緊急時だけの対策でなくメディアを視野に入れた紛争対策を考えるべきだとも述べた。

米国平和研究所の代表者は様々な機関同士の連携不足を指摘する。いろいろなプログラムの経験を機関間で共有できるような用語の統一や戦略的枠組みなどが予算不足のため整備できない状態である。

紛争後の選挙により樹立された新しい政府の認知度を高め国民の意見をフィードバックするのがメディアの役目である。たとえばボスニアの紛争後ラジオやテレビの広報活動が効を奏し国内避難民が帰還することができた。1998年に北アイルランドの国民投票で聖金曜日協定が可決されたのもメディアに負うところが大きかった。

とは言え、メディアのインフラが破壊されていたり紛争以前に存在すらしていなかった場合はメディアを活用することはできない。国際機関が全国を網羅するメディアのインフラ整備を支援するべきである。

国連平和維持軍はシエラ・レオネで2000年にRadio UNAMSILと言うラジオ局を開局した。国連は政府が独立の放送局を運営できるようになるまで平和維持軍撤退後も政府がUNAMSILの運営を続けるとの合意を取り付けた。

たいがいの紛争当事国は紛争後メディアを設立する余裕など無いのだから国連が再建戦略を行う上でメディア開発を最優先課題に据え、資金援助を取り付けるべきである。

報道内容とジャーナリズムの公正さを大切にするために研修も重視しなければならない。

紛争問題を専門とするNGO代表者は「私たちは技術支援を行うことでジャーナリストを育て、いろいろな人たちの声を世の中に訴えていきたいと思う。」と述べた。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝浩

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