【ザヒーラバードIPS=ケヤ・アチャルヤ】
インド南部の内陸乾燥地帯に広がる75の村でサンガス(sanghas)と呼ばれる村単位での集団である女性5,000人が地球温暖化に対処する一環として化学肥料を使わず、過剰に水を必要としないオーガニック農法を実践している。
インドでは農業が温室効果ガス排出の28パーセントを占める。水田や畜牛から排出されるメタンと、肥料から出る亜硝酸化物が主である。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2007年の報告によると、インドの降水パターンは数日間にわたる豪雨が増えるなど変動が激しくなると予測されており、それが直接農業の混乱をもたらすだろうとしている。気温が摂氏0.5度上昇すると1ヘクタール毎に0.45トン、小麦の生産量が減るという。
ザヒーラバードでは、ダリットと呼ばれるインドのカースト制度の最下層に属する女性達が、過剰に水、化学肥料、殺虫剤を使いすぎないオーガニック農法で農作物を作り気候変動に対抗しようとしている。
その女性達はデッカン開発協会(DDS)の援助のもとに乾燥して荒廃した土地を蘇らせ、19種類もの在来種の農作物を作っている。DDSは過去25年にわたりインドのこの乾燥地帯でダリットの女性達が土地を所有できるよう支援したりサンガスを組織したりしている。
Samammaの1エーカーの土地ではホースグラム150キロ、雑穀200キロ、亜麻仁50キロ収穫される。彼女はそのうち穀物を50キロ、家畜飼料用豆類30キロを自分のためにとっておき、残りを市場で売る。今では75の村で5,000人の女性がこの農法を徐々に採用している。DDSのP.V.サティーシュ氏は「気候変動に関する枠組みにおいては、このような乾燥地農業は気温上昇の副産物に対抗する復元力となる」と言う。
DDSは今では有機農法監視システムで国際的なParticipatory Guarantee Scheme (PGS) のOrganic India Councilが認定した有機農法の監視システムにおいて女性たちに関わっている。このシステムはオーガニック農家自身による第三者認定で、2006年に農家やNGOとの協議のうえ食糧農業機関(FAO)とインド農務省によってインドで開始された。
ザヒーラバードでオーガニックと認定された食物や穀類にはPGSラベルを貼った包装がされハイダラバードの小売店で売られる。女性達は発注の多さに圧倒されていると言う。 (原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩
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