【パリIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
アフリカは持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために、2030年までに1兆6000億米ドル(毎年1940億米ドル)の資金が必要であるとする新しい報告書が発表された。2023年版「アフリカの開発ダイナミクス」は、アフリカ諸国の政府とそのパートナーに対し、投資家向けの情報を改善し、アフリカの開発金融機関の能力を高めるよう求めている。
また、地域プロジェクトを後押しすることで、アフリカ大陸はより多くの、より良い投資を呼び込み、既存のギャップを埋めることができる、と報告書は強調している。
アフリカの実質GDP成長率はコロナ以前のレベルの水準に戻り、2023年には3.7%に達すると予想されている。こうした前向きな経済見通しに加え、アフリカ大陸は投資家を惹きつける独自の人的資本(=人間の能力、スキル、知識、教育、健康などの要素)と自然資本(=地球上の自然環境や資源)を主張している。アフリカの人口の半数は19歳以下であり、高等・中等教育を修了した若者の割合は、2020年の23%から2040年には34%に達する可能性がある。
アフリカ大陸の総富(Total Wealth)の19%を占める自然資本は、持続可能な開発に投資する大きな機会を提供している。例えば、コンゴ盆地がアマゾンに次ぐ世界第二のカーボンシンク(二酸化炭素吸収源)となったことで、アフリカの森林は2011年から2020年までの間に、およそ1160万キロトンのCO2換算によるネット排出量を増加させた(=アフリカの森林が炭素吸収源となり、排出量よりも多くのCO2を吸収し、地球温暖化を緩和する上で良い影響をもたらした。)
そのような可能性があるにもかかわらず、世界的な危機により、アフリカへの投資は他の地域よりも悪影響を被っている。例えば、世界の新規投資(グリーンフィールド海外直接投資)に占めるアフリカのシェアは2020―21年には6%(過去17年間で最低)にまで落ち込んでいる。一方、他の高所得国は過去最高のシェア(61%)を記録しているのに対し、発展途上のアジアは17%、ラテンアメリカとカリブ海諸国は10%である。
アフリカにおける資本コストは、世界の他の地域よりも高くなっており(=アフリカの企業や政府が資金調達においてより高い利息や配当を支払わなければならない状況にあるため)、それにより一部のアフリカ諸国の政府は債券市場から排除される一方で、再生可能エネルギーなどの変革をもたらす分野への投資が阻害されている。
それにもかかわらず、持続可能な資金調達のギャップは埋められる可能性がある。それは、世界の金融資産の価値の0.2%未満、またはアフリカが保有する金融資産の10.5%に相当する。つまり、2030年までに世界の金融資産のわずか2.3%がアフリカに割り当てられれば、そのギャップを埋めることができるのである。ちなみに、この数値は世界GDPにおけるアフリカの割合を下回るものである。
アフリカの資金源に関する包括的な評価に基づき、本報告書は、投資家の信頼を向上させ、アフリカ大陸における持続可能な投資を加速させるために、アフリカ諸国の政府とそのパートナーにいくつかの優先事項を提案している。その中には次のようなものがある:
- アフリカの国家統計機関は、カントリーリスク評価のために、より多くの良質なデータを提供すべきである。同様に、投資促進機関や規制当局は、より詳細で最新の情報を、統一された使いやすい形式で提供すべきである。
- 国際社会は、アフリカの102の開発金融機関(DFIs)の資本を増強し、国際金融と現地のプロジェクト、特に気候変動に適応するためのプロジェクトを仲介する能力を高めるために、より多くの資源を投入すべきである。
- アフリカ諸国の政府と地域組織は、市場の分断を減らすために開発回廊やデジタルインフラストラクチャなどの国境を越えるイニシアティブの実施を加速させるべきである。さらに、中小企業に的を絞った支援を提供し、アフリカ大陸自由貿易地域(AfCFTA)の投資プロトコルの実施を積極的に監視すべきである。(原文へ)
INPS Japan
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