SDGsGoal17(パートナーシップで目標を達成しよう)|国連市民社会会議|包摂性・インパクト・革新がSDGs達成には必要

|国連市民社会会議|包摂性・インパクト・革新がSDGs達成には必要

【ナイロビIPS=ジョイス・チンビ】

世界は、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて順調に進んでもいないし、極度な飢餓、貧困、紛争、気候変動といった世界的な課題に効果的に対処するためのあらたな機会を活用できてもいない。

2024 UN Civil Society Conference
2024 UN Civil Society Conference

国連ナイロビ事務所は、世界的な観点を強化するために、「グローバルで持続可能な前進の未来を形作る」というテーマの下で国連市民社会会議を開催している。市民団体や研究機関、シンクタンク、加盟国、民間企業、国連機関、変革者、その他の利害関係者など、世界各地から2000人以上の参加者が集っている。

 「ヘルプエイジ・インターナショナル」のグローバル活動推進・アフリカ地域代表であるキャロル・アジェンゴ氏は、「市民社会の関与が開発の歯車を回す上で重要な要素であるという考えはすでに確立されています。市民団体や政府、民間部門の連携を強化することは、『国連の未来サミット』に力を入れていこうという中で、緊急の課題となっています。」と語った。

「実際、市民社会の参加は、現在および将来に直面する課題に対処するため、そして全人類と未来の世代のためにより適切に準備された国際システムを実現するうえで大いに貢献するでしょう。」

1947年以来、68回の市民社会会議が、市民社会組織とのこれまでの交流により成功が導かれてきた。現在開催されているナイロビ会議は、国連の市民社会カレンダーにおける主要なイベントであり、アフリカで開催される初めての国連市民社会会議である。

ジンバブエで生まれ、現在は南アフリカで人権活動家として活動しているコンスタンス・ムカラティは、IPSの取材に対して、「市民団体の役割、とりわけ人権擁護者らの役割は、『誰一人取り残さない』という(SDGsの)目標の中で強調されすぎることはない。」と語った。

「アフリカ女性人権活動家イニシアチブ」のムカラティ氏は、「私たちにとっては、SDGの第5目標は第1目標と同じことです。緊急性の問題から言えば、どこに住んでいる女性・女児であっても、平等の権利と機会を持たねばなりません。依然として女児教育が軽視されている時代に私たちはおり、今回のような会議は、各国や世界における課題についての私たちの考え方、それら問題に関する私たちの語り方、誰が決定権を握っていて、持続可能な開発に向けた公約をいかにして実行していくのかといったことについて、変革をたらすことになるだろう。」と語った。

市民社会やその他の利害関係者による今回の集まりは、今年9月22・23両日にニューヨークの国連本部で開催される世界の指導者らによる国連の未来サミットを前にした予備的な議論やデータを提供することになるだろう。既存の国際公約を果たす努力を加速させ、新たな課題と機会に対応するための具体的なステップを踏むべく、世界的な協力をリセットするための大きな取り組みの一部である。

UN Summit of the Future
UN Summit of the Future

究極的には、国連の未来サミットの目的は、公的機関に対する信頼の低下、富の偏在の加速、世界の大多数の人口が低開発の状態にあり極度の飢餓と貧困が加速している状況が世界で見られる中で、多国間主義が意味するものを再考する点にある。同サミットは、世界的な課題に対処するために、「未来のための協定」(ゼロ・ドラフトとして入手可能)、「グローバル・デジタル・コンパクト」、「未来世代宣言」の3つの国際枠組みを打ち出すことになろう。

 ナイロビを中心に活動するエリック・オモンディ氏は、「国連システムが地球市民との関わり方を見直し、再設計することが緊急の課題となっています。SDGsを再び軌道に載せるためにまさに必要なことです。今日直面している複合的な課題に関して人々がどう考えているか? 市民社会運動の中には、国連システムの中で政府の声が優先されているという思いがあります。ナイロビ会議への参加は、活動家や人権擁護者としての私たちの声を国連に伝え、国連の未来サミットの方向性に影響を与える、ユニークで非常に関連性の高いものです。」と語った。

「ナイロビ会議は、持続可能な開発に関する市民社会の連携を活性化しその関与を強めることを目的とした歴史的な集まりです。私たちの世代は、私たちが取る行動のひとつひとつが、私たちが共有する地球の未来を大きく形作ることができる重要な分岐点に立っていると認識しています。」と、SDGケニアフォーラムの代表で、「我々の望む国連連合」の共同議長であるフローレンス・スエヴォ氏は語った。

スエヴォ共同議長は、気候変動のような地球規模の問題に取り組む緊急性を認識する必要性が、人間と自然との相互作用がより明確になるにつれ、かつてないほど顕著になっていると強調し、この会議の成果がすべての人々にとって重要である理由を強調した。

ナイロビ会議と国連の未来サミットは、国際協力における市民社会の知見を集め、広く参画を促す重要なプラットフォームである。ナイロビ会議では、国連の未来サミットへの序章として、「包摂性」・「インパクト」・「革新性」という3つの主要テーマに沿った、詳細な対話や様々なワークショップ、展示が行われている。

「包摂性」は、多様な声の可視性と影響力を高めることで、グローバルな問題に対する言説の幅を広げるのに役立つ。「インパクト」については、参加者は、9月の国連の未来サミットの成果となる主要な課題の重要性を訴え前進させるさまざまなステークホールダーから成る連合が参加者らによって形成されようとしている。「イノベーション」に関しては、今回の2日間の集まりで市民社会と政府間プロセスの相互作用が再定義されようとしており、世代と部門を越えた連携の新しいモデルが示されている。

UN Photo
UN Photo

ウガンダからきた青年参加者キコンコ・シャローム・エステル氏は、「若者の声をSDGsやそれに関連した公約実施のプロセスに取り込むことが最重要課題です。私は最近カンパラ国際大学で法学を修めたばかりで、グローバル・サウスの若者と彼らが住む地域が直面している最も緊急の課題に対処するために法律に関する自分の知識を使いたいと思っています。」と語った。

この画期的な市民社会会議の1日目が終了する中、国連加盟国主導の国連の未来サミットプロセスを強化するために、市民社会の洞察やイニシアチブを促進する必要性についてのコンセンサスが得られた。また、再活性化され組織化された市民社会グループが、公正で公平な共有された未来に向けた進展について、政府や権力をより効果的に責任を追及できることが強調された。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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