【国連=ナウリーン・ホセイン】
国際的な連帯と果断な行動という「国連の未来サミット」の核となるメッセージを推進するのは、今日世界が直面する複合的な危機に取り組むことを決意した若者たちである。
そして彼らは、2024年9月20から21日にかけて開催された同サミットのアクション・デイズでは、国連本部内外で、意味のある参加を増やし、定義づけるための対話を主導した。
また、9月22日(日)に国連で採択された「未来のための協定」においても、若者と未来世代は世界の指導者たちの関心の最前線にある。史上初の「未来世代に関する宣言」において、彼らの役割が明確に定義され、意思決定において未来世代を考慮するための具体的な手段が提示された。その中には、未来世代のための特使を任命する可能性も含まれている。
これに、「特に世界レベルにおいて、若者たちが自分たちの人生を形作る決定に参加する有意義な機会」を増やすことへのコミットメントも含まれる。
未来をつくる:創価学会インタナショナル(SGI)と未来アクションフェス実行委員会が共催し、国連大学(UNU)と国連広報センター(UNIC)の支援を受けたサイドイベント「未来を築く:核危機と気候危機に関する相乗的なコラボレーション」では、若手活動家が一堂に会し、2つの異なる危機が交わる局面について、また若者の意味のある参加を定義するものは何かを議論した。
国連広報センターの根本かおる所長は、サミットのアクション・デーの議題が若者の参加者によって主導・組織されたことは「画期的」であり、総会議場の大半の席が若い活動家たちによって埋め尽くされたと述べた。
また、「若者たちには、この世界をより良い場所にする力があるという共通のメッセージがある。気候変動、核軍縮、不平等との戦い、どの議題に取り組んでいても、若者に関する問題は、あらゆる分野にまたがる非常に重要な問題である。」と根本所長は言う。
さらに根本所長は、国連は若者の意味のある参加を促すために、さらに努力する必要があると付け加えた。これは、青少年が意思決定において協議し、指導的立場に立つことを認めることを意味する。若者の存在を形だけのものにしてはならない。
気候変動と核危機は、深く結びついた存亡の危機である、と国際連合大学学長のツシリッツィ・マルワラ博士は言う。気候の不安定さは、紛争や避難民の発生を引き起こす要因を助長する。スーダン、イスラエル、パレスチナ、ウクライナで起きているような紛争は、核のエスカレーションのリスクを高める。現代のリーダーたちがこれらの問題に取り組む中で、マルワラ博士は若者たちに、声を上げ続け、権力者たちに責任を問うよう呼びかけた。
マルワラ博士は、国連大学は「若者の意味のある参加」を全ての関係者で実現することにコミットしていると述べた。若者たちは意欲的で、より深い社会問題への関心を示す一方で、自分たちの声を聞いてもらったり、行動を起こすための活力を感じたりすることに課題を抱えている。マルワラ博士は、政治活動に関与していない、あるいは参加することを躊躇している若者たちに手を差し伸べることが重要だと指摘した。
未来サミットの主要な議題の一つは、意思決定プロセスへの若者の参加を増やすことである。若い活動家や市民社会の関係者が、より大きな社会的変化を推進し、複雑な問題に対して意欲的に行動をしてきたことは、以前から認められてきた。しかし、彼らは自国の政策決定に参加する際にしばしば課題に直面している。
これらの課題の中には、政治システムにおける構造的な問題が潜んでいる。日本の政治においては、若者層は国政および地方政治で、十分な存在感を発揮できていない。日本では若い有権者の間で、自分たちの声が国や地方公共団体に届かないという考えが広まっていると、日本若者協議会で活動するセリガノ・ルナ氏は述べた。
これは投票率に示されており、20代の有権者はわずか37%、自分の一票が重要だと考えている有権者は54%しかいない。対照的に、70代の人々の71%が選挙で投票している。30代以下の人々は、政府の委員会やフォーラムで働く専門家のわずか1%に過ぎない。日本若者協議会は現在、来年の新しいエネルギープランに取り組む委員会メンバーとして若者が直接参加するよう呼びかけ、国の気候変動政策への積極的な若者の参加を提唱している。
ジェンダーの視点から核兵器の廃絶を目指すNGO団体「GeNuine」の共同創設者である徳田悠希氏は、若者たちが意思決定の場から遠ざかっていると語った。若者の声は届くかもしれないが、それだけでは十分ではない。彼女がIPSに語ったように、気候変動と核の危機は日本の若者の関心事である。そして、何ができるのかというアイデアはあっても、どのように行動すればいいのかは知らされていない。
参加を増やすための希望はある。徳田氏は、原子力問題に関する政策立案者たち(そのうち30%が女性)は、こうした議論に若者たちを参加させる取り組みを始めていることを共有した。
「若者がこれらのプロセスに意味のある参加ができるようにシステムを再構築する時です。核兵器禁止や気候危機の解決に取り組むためには、世代を超えた参加が必要なのです。」と徳田氏は言う。
このイベントでは、若者の意味のある参加とはどのようなものかが話し合われた。若者の視点に配慮した取り組みがなされていることは認められた。若者を議論に含めることは重要な一歩である。しかし、それだけでは不十分であり、今後は、複雑に絡み合う問題を解決するために必要な行動を起こす権限を持てるようにすることが求められると提案された。そうでなければ、若者たちが参加する意味がない。
「平和の構築と維持という課題に取り組むためには、未来志向の若者がこれまで以上に必要とされている。」とSGIユース共同代表の西方光雄氏は述べた。
「未来アクションフェスのように、若者の連帯は問題を解決し乗り越えるための出発点となり得る。」と同氏は語った。
来年の2025年は第二次世界大戦の終結と広島・長崎の原爆投下から80年目を迎える。西方氏は、核兵器禁止条約第3回締約国会議と国連気候変動会議(COP30)を前に、核軍縮と気候変動対策の議論を進める重要な機会となると指摘した。
さらに、同氏は、「私たちは平和への願いで一致団結し、次世代への責任を分かち合い、草の根レベルの行動を日本、そして世界に広げていきます。」と語った。
未来のための協定では、核軍縮に向けた多国間のコミットメントを10年以上ぶりに再確認した。これは、核兵器の完全廃絶という目標に向けた明確なコミットメントも伴う。
また、1960年代以来の国連安全保障理事会の改革を約束し、優先事項としてアフリカの歴史的な代表不足の是正を含め、理事会の実効性と代表性の向上を計画している。
この協定では、持続可能な開発目標(SDGs)の実施を「加速」させるコミットメントがあり、開発途上国の代表性を高め、これらの国により資するものになることを目指す国際金融アーキテクチャーを改革することが含まれている。
「私たちは、祖父母世代のために構築されたシステムで、私たちの孫にふさわしい未来を築くことはできない」とアントニオ・グテーレス国連事務総長は述べた。(原文へ)
This article is brought to you by IPS Noram in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International in consultative status with ECOSOC.
INPS Japan/IPS UN Bureau
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